目の病気 (15) iPS細胞を用いた加齢黄斑変性症の治研2
目の病気 (15) iPS細胞を用いた加齢黄斑変性症の治研2
前回よりも、もう少し具体的に踏み込んで、iPS細胞による治験の様子を学びましょう。
(A) 患者iPS細胞由来の網膜色素上皮細胞の移植概要
a) 患者本人の皮膚細胞からiPS細胞を作製し(下図左)、
b) これを網膜色素上皮(RPE)細胞に分化させ(下図中央)、
c) シート状にして(下図右)、
d) 網膜の黄斑部に移植します。
そして痛んだ組織の再生を促し視機能を維持・回復させるという新しい治療法の開発を目指します。
(B) 具体的な手順
a) 患者の上腕部から直径4ミリ程度の皮膚を採取し、細胞培養して皮膚組織からiPS細胞を作製します。
b) これを網膜色素上皮(RPE)細胞に分化させます。
c) さらに、移植に適したシート状に成長させ、その品質・安全性確認を行います)。
皮膚を採取してから網膜色素上皮細胞のシートが完成するまでに約10カ月かかります。
d) こうして作製した網膜色素上皮細胞のシートを、
網膜下の新生血管を取り除いた後(下図の上、中)、
網膜下へ移植します(下図の下)。
e) 手術後1年間は、毎月、視力検査、眼底検査、画像診断などの検査を行います。
d) その後も年に1度、合計4年間経過観察を行い、安全性の確認や視機能の評価を行います。
2016年8月には、ブラジルのリオデジャネイロでオリンピックが開催されますが、その次の2020年東京オリンピックまでには今回の臨床試験の評価結果が公表されている事と思います。個人的にはオリンピックよりもこちらが気になります。
(C) 対象患者の募集
朝日新聞デジタルによれば、理化学研究所は2013年8月9日からこの臨床研究に関する特設サイトを開き、対象患者の募集を開始した。