専門医 (2)細分化していく専門医
専門医 (2)細分化していく専門医
細分化していく専門医
理想を言えば、一人の医師がより多くの専門領域を持つと言う事かも知れませんが、医学は日進月歩ですので、あらゆる分野で専門性を維持する事は困難でしょう。
大きな病院になればなるほど、専門性は細分化し、消化器と言っても、食道専門、胃専門、小腸専門、大腸専門、肛門専門などに分担しあった時、2つ以上の診療科(例えば内科と整形外科)にまたがる患者さんに対して、各々の専門医は互いにどのように協力し合っているのでしょうか。 この辺が極めて怪しいのではないでしょうか。
専門化に伴う問題点
医師がさらなる専門化を目指すよりも、むしろいくつもの診療科の専門医の医師達が互いに協力し合えていない点に最も問題があるように思われます。
なぜなら、外科で癌の手術を終えた後、抗ガン剤の選択や放射線治療の選択の際、化学療法の専門医(腫瘍内科医)や放射線治療専門医に相談されていない外科医は珍しくないからです(但し、がんセンターを除く)。
一般の大きな病院でご家族がガンの手術後に、外科医ではなく抗癌剤の専門医や放射線腫瘍医からも説明を受けられた経験はどれくらいあるのでしょうか。
チーム医療を目指すとは?
チーム医療とは、医療従事者が互いの専門性を尊重し、最大限の能力を引き出し合うことによって患者さんに対して最善の治療をおこなう医療現場の取り組みをいいます。
なぜ「チーム医療を目指そうとしているのでしょうか?」。
その理由は、これまでチーム医療が出来ていないからです。
つまり現状はチームバラバラ状態と言う事になります。
病院を心臓に例えるなら、不整脈を起こしている心臓(病院)と言う事になりそうです。各専門医は各々の役割を果たそうとしている事と思いますが、結果的に患者さんは一人の専門医である主治医にお願いするしかない状態です。
どんなに多種多様な専門医がそろっていても、協力関係が出来ていないなら患者さんの事を優先して考え、謙虚に人間関係を維持しようとする一般医にお世話になった方が良さそうですね。
専門化が進めば進むほど、各診療科間だけでなく、各科内における協力も、これまで以上に必要になりそうです。
そう言うオーケストラの指揮者のような役割を担う医療従事者こそ求められていると考えています。