血液検査 (27)クレアチニンからわかる事
血液検査 (27)クレアチニンからわかる事
(A) クレアチニン(CRE)とは
筋肉内のエネルギー代謝産物であるクレアチンの分解産物です。 クレアチニンは腎臓で排泄され、ほとんど再吸収されないので、 腎機能が悪くなると血中クレアチニンは上昇します。このことからクレアチニンは腎臓の濾過機能を反映しています。
(B) クレアチニンの元であるクレアチンは何からできる?
クレアチニンの元であるクレアチンは、筋肉組織内でリン酸化合物であるクレアチンリン酸として貯蔵されています。クレアチンリン酸は、スポーツの際にエネルギー源として利用され、クレアチンとATPに分解され、ここで生じたクレアチンは再びリン酸化され、クレアチンリン酸として再利用されるか、脱水を経てクレアチニンになります。クレアチニンは最終的には腎臓でろ過されて尿中に排泄されます。
クレアチニンが腎臓から排泄されやすいため、クレアチンは、クレアチンパウダーとして販売されており、スポーツドリンクに混ぜて摂取され、筋肉増強剤として利用されています。
このクレアチニンの元であるクレアチンは、腎臓及び肝臓でグリシン、アルギニン、メチオニンと言うアミノ酸を材料として生合成されています。
(C) クレアチニンを調べると何がわかるのか?
クレアチニンは、腎機能が正常なら尿として体外に排泄されます。
従って、血液中のクレアチニンが多い場合には、腎臓の濾過機能が障害されていると考えられます。
またクレアチニンは、筋肉の病気を調べるときにも検査されます。
筋肉内で合成されるクレアチニンの量は筋肉の量に比例するため、筋ジストロフィー症などの筋肉の萎縮する病気があるときは、筋肉量が少ないことから低値になります。
しかし、クレアチニンは腎機能(糸球体濾過率)が50%以下になるまでは上昇しないため、軽度の腎機能障害の判定には適当とはいえません。そこで腎機能のより精度の高い診断には、腎糸球体機能の変化を測定するクレアチニン・クリアランスと言う検査を行ないます。
逆にいえば、クレアチニンが軽度に上昇したときには腎臓の糸球体濾過機能は半分以下になっていることを意味します。
クレアチニンは、筋肉のクレアチン代謝物質ですので、筋肉量に比例します。つまり、子供よりは大人、女性よりは男性りほうが基準値は高く、 性差、年齢差があります。
なお、クレアチニンの数値は、上運動により数値が変動しますので、激しい運動のあとではなく、安静時に採血する必要があります。
(D) クレアチニン・クリアランス
血清中と尿中のクレアチニンの量を測定して比較し、腎臓の糸球体濾過機能を調べる検査です。
血清尿素窒素やクレアチニンも、腎機能のスクリーニング検査として有用ですが、これらの値が高値を示すようになるには、腎機能が正常の50~70%以下になってからで、軽い腎機能障害を発見することはできません。そこで、腎臓の糸球体機能を正確に知るためにこの検査が行なわれます。
(E) クレアチニン・クリアランスはどのように測定するのか?
クレアチニン・クリアランスの測定法には、1~2時間の短時間法と24時間法があります。
どちらも、血清中のクレアチニン値を安定させるために、検査の2日ほど前から食事で摂るタンパク質の量を1日40~50gと一定にします。
短時間法では、まず尿を採取し、さらにその30分後にもう一度、尿を採取して終了です。
24時間法では、その日の最初に排尿した分は全て捨て、それ以降の尿は専用のびんに蓄えておきます。
尿量が検査結果を左右するので、排便時の尿も捨てずに採取します。24時間蓄えた尿のクレアチニン量を測定します。同時に空腹時に採血を行ない、血清クレアチニン値も測定します。