高齢者が地域で暮らすには (10)地域包括支援センターについて知る 地域医療に貢献する 高齢者が地域で暮らすには (10)地域包括支援センターについて知る 高齢者が地域で自立した生活を維持していくために一番必要な要因は、「(1)健康な生活」であることをご説明しました。しかし、健康で自立した生活がいつまでも続くことは、極めてまれです。 多かれ少なかれ年齢と共に多少の身体の不具合はあって当たり前です。 従って、将来の要介護状態を想定して、介護の仕組みを理解しておくことも必要です。 なぜなら、病気で具合が悪くなった場合には、救急車を呼べば病院に連れて行ってくれます。しかしながら、介護サービスを受けたいと思っても介護認定を受けなければ、何のサービスも受けられないからです。そのための身近な各地域の連絡先が「地域包括支援センター」と言う窓口です。 と言うことで、今回は「地域包括支援センター」についてどんな事を頼めるのかご一緒に学びましょう。 地域包括支援センターの設置目的は? 設置の目的は、地域住民の保健・福祉・医療の向上、虐待防止、介護予防マネジメントなどを総合的に行う機関です。 2005年の介護保険法改正で定められた地域の介護アドバイザー的な役割を担っています。その目的は、厚生労働省が示す「地域包括支援センター業務マニュアル」によれば、以下の通りです。 ”高齢者が住み慣れた地域で安心して過ごすことができるよ うに、包括的および継続的な支援を行う地域包括ケアを実現するための中心的役割を果たすことが 地域包括支援センターに求められています。” 地域包括ケアとは 上記リンク先の「包括支援センター業務マニュアル」によれば、 地域住民が住み慣れた地域で安心して尊厳ある生活を継続す ることができるように、介護保険制度による公的サービスのみならず、その他のフォーマルやイン フォーマルな多様な社会資源を本人が活用できるように、包括的および継続的に支援することです。 フォーマルやインフォーマルとは? フォーマル・ケア(フォーマル・サービス)とは 医療保険制度や介護保険制度などの法律・制度に基づいて行われる公的なサービスの事を指します。 例えば、訪問介護(ホームヘルパー)や訪問看護・デイサービス・デイケアなどがフォーマルサービスに当たります。 インフォーマル・ケア(インフォーマル・サービス)とは 介護保険などの制度を使わないサービスを指します。 NPO法人やボランティアグループが行うサービス(有料・無料に関わらない)だけでなく、家族・親戚・近所の人の力も、インフォーマルサービスに含まれます。 その内容は、見守り支援・安否確認・宅食・外出の付添い・話し相手などです。 これらの定義から、介護保険外サービスとか家事代行サービスなどは、インフォーマルサービスに含まれます。 地域包括センターは、何をしているの? 地域包括支援センターでは、以下のことを行っています。 1.介護予防の為の助言、指導 2.高齢者に対する相談と支援 3.介護支援専門員(ケアマネジャー)への助言、指導 4.要支援認定の方のケアプラン作成 次に、対応するどの様なスタッフがどの様な役割を果たしているのかについて見ていきましょう。 どんなスタッフがどんな対応をしているの? 保健師等 高齢者の方々が住み慣れた地域、ご自宅でいつまでも過ごすことができるように、また、要介護状態にならないように、相談や情報提供、アドバイスを行っています。 社会福祉士(ソーシャルワーカー) 介護保険の利用に関する相談、介護予防、健常者を含む高齢者の相談窓口として対応しています。 従いまして、まだ介護を必要としていなくても今後の不安や困っていることなどについてお問い合わせ下さい。 介護支援専門員(ケアマネージャー) 介護保険で要支援の認定を受けた方への介護予防ケアプランを行います。 以上のように、介護の問題に留まらず、また、要介護状態でなくとも高齢者の困りごとの相談窓口としての役割を担っています。 <私見> 介護保険制度そのものが比較的新しい制度であるため、その仕組みが理解しにくく、加えて、制度における役割や機能について変更や修正も加えられていることから、まだ介護を必要としない一般市民にはわかりにくい状態です。 しかし、上の設置目的で述べたように、「高齢者が住み慣れた地域で安心して過ごすことができるよ うに、包括的および継続的な支援を行う」ことですから、充分な支援が受けられるかどうかは別として、高齢者の相談窓口として設置されています。 また、すでに介護認定を受けたご家族のいらっしゃる方は、何らかの形で地域包括支援センターをすでに利用されています。 ですので、要介護認定を受けているご家族の方にお聞きになることで、より具体的な情報が得られると思います。 まずは身近な人やかかりつけ医に相談されてはいかがでしょうか。