高齢者が地域で暮らすには (18)介護保険制度の概略
高齢者が地域で暮らすには (18)介護保険制度の概略
介護保険制度は2000年に施行されて以来、制度の見直しを繰り返している過程でもあるため、一般にヒトには理解しにく仕組みです。
実際に、介護保険サービスを受けるためには、医療保険とは異なり、介護認定審査を受けなければならず、受けられる介護サービスは、介護度によって制限があります。
その仕組みは、数年ごとに見直されていることもあり、介護保険制度はまだ改善過程にあると言える状態です。
その一方で、高齢者の増加と共に、親の介護のために離職を考えなければならないほど要介護者本人のみならずその家族や地域までもが対策を迫られている面も珍しくありません。
この機会に介護保険制度の概略について把握して頂ければ幸いです。
介護保険制度の仕組み
介護保険制度は、介護を必要とする状態でも出来る限り自立した日常生活を営み、人生の最後まで人間としての尊厳を全うできるよう、介護を必要とする人を社会全体で支え合う仕組みです。
2000年(平成12年)4月に施行して以来、在宅介護サービスを中心に利用が急速に進み、今後、介護を必要とする高齢者や認知症の高齢者の一層の増加が見込まれています。
介護認定を受けた利用者は、自らの選択に基づいて介護サービスを利用することができ、介護に関する福祉サービスと保健医療サービスが総合的・効率的に提供される事を目指しています。
介護サービスを提供する事業者は、公的機関のほか、株式会社やNPOなど多様な事業者の参入促進が図られてきました。
介護保険制度が将来にわたり安定的に運営していけるよう、2006年(平成18年)4月から制度全般について見直しが行われ、予防重視型システムへの転換や、地域密着型サービスの創設など、新たなサービス体系も加えられてきました。
保険者(実施主体)
介護保険の実施主体である保険者は、区市町村です。
要介護認定、保険給付、第1号被保険者(65才以上にヒト)の保険料の賦課・徴収などの保険事業の実施や介護サービスの基礎整備を行い、介護給付費の12.5%を負担しています。
被保険者(保険に加入する人)
市区町村の区域内に住所を有する40歳以上の人が、その市区町村の被保険者となります。
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第1号被保険者 65歳以上の人
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第2号被保険者 40歳以上65歳未満の医療保険加入者
介護保険料
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第1号被保険者の保険料は、老齢退職年金・遺族年金又は障害年金を年18万円以上受けている人は、特別徴収として年金から天引きが行われ、それ以外の人は、普通徴収として個別に徴収されます。
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第2号被保険者の保険料は、医療保険料とあわせて徴収されます。
保険給付(サービス)が受けられる人
寝たきりや認知症などで常時介護を必要とする状態(要介護者)や、日常生活を営むのに支障がある状態(要支援者)になった場合に介護サービスを受けることができます。
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65歳以上の第1号被保険者は、介護が必要になった際、介護認定を受けた後、介護サービスを受けられます。
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40歳以上65歳未満の第2号被保険者は、老化に伴う16種類の特定疾病が原因で介護認定を受けた場合に介護サービスを受けられます。16種類の特定疾病とは、以下の疾患です。
関節リウマチ、ガン、多系統萎縮症、パーキンソン病関連疾患、筋萎縮性側索硬化症、後縦靭帯骨化症 、骨折を伴う骨粗しょう症、認知症、脊髄小脳変性症、脊柱管狭窄症、早老症(ウエルナー症候群)、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症、脳血管疾患、閉塞性動脈硬化症、慢性閉塞性肺疾患、両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症