「神話の国」づくり (3)30年以内に巨大地震?
「神話の国」づくり (3)30年以内に巨大地震?
2013年の秋以来、盛んに30年以内に巨大地震が発生するとの公的機関やマスコミ報道が、国民の不安をあおり、また地方自治体も被害想定を考慮した減災対策に乗り出しています。
ここで問題にしたい点は、「30年以内に巨大地震が発生する」根拠についての説明がなされていないことです。そこで今回は、これをテーマとします。
(A) 巨大地震の発生確率、公表ラッシュ!
1) 政府の地震調査委員会は、南海トラフによる巨大地震の発生確率を発表した。それによると、今後30年以内にマグニチュード8以上の巨大地震が起きる確率は、60~70%程度となると指摘した(2013年5月27日発表)。
また、マグニチュード8以上の巨大地震の発生確率を、今後10年以内では20%程度、20年以内では40~50%程度、30年以内では60~70%程度、50年以内では90%程度とも予測し、発表しました。
2) 内閣府の中央防災会議防災対策推進検討会議は、南海トラフの巨大地震に関する津波高、浸水域、被害想定についても公表しています(2013年3月18日)。
3) 2013年の5月末以来、これらの発表後、政府は防災・減災のために巨大防潮堤建設の公共事業を打ち上げた。
そして東日本大震災の津波に襲われた岩手、宮城、福島3県の沿岸では防潮堤の建設が進められています。
3県合わせて総延長約400キロ、事業費約8500億円に上る巨大プロジェクトです(2013年09月06日)。
4) 他方、宮城県が塩釜市の無人島4島で計画している防潮堤整備をめぐり、農地を守るための防潮堤であり、農業をしないとなれば整備する理由はなくなると村井知事も見解の変更を示唆した(2013年12月25日)。
5) そして2013年10月、政府は来年度(2014年)の予算編成に取りかかった。
(B) 私の疑問
上記の一連の地震予測、被害想定、巨大公共事業に関する私の疑問点を整理しておきたい。
1)地震予測は出来ないとされているにも関わらず、30年以内という直近の地震発生予測の根拠がない。
2)地震発生の根拠が示されないまま、被害想定を示すことで地震発生を起こりえる事としている。
3)上記の1)と2)により、無駄な公共事業を意味があるように誘導していないだろうか。
4)巨大地震が来るなら、なぜそれまでに使用済み核燃料を安全な状態に保管しようとしないのか。
5)巨大地震を予測した学者は、すでに40歳以上の学者しか言及していない。
11つまり、彼らは30年後には定年退職しており、年金暮らしで、予測が外れても責任を問われない。
指摘1
安倍政権は、論拠のない巨大地震とその被害想定を示すことで莫大な公共事業を打ち上げ、(土建業界の票を集めて)長期政権の基盤としているのではないだろうか。
指摘2
巨大地震が発生しても、原発の使用済み核燃料は漏れ出さないという安全神話も作らなければならない。
加えて、巨大地震が来ても東京オリンピックには影響がないと言う都合の良い「安全神話」も必要になりそうです。
次回以降、原発を推進してきた政府及び電力会社を裏で支えた専門家集団である学会組織について、それぞれの事故調査委員会の報告書の内容について考えてみたいと思います。