夏ばて対策 (6)高齢者が熱中症や夏ばてになりやすい理由 その2
夏ばて対策 (6)高齢者が熱中症や夏ばてになりやすい理由 その2
高齢者と若者の体温調節機能の比較
「体温調節機能の比較結果」 http://www.hql.jp/project/clothdb1998/c4/c4_comp.htm から、環境温度の上昇に対する高齢者と若者の比較を要約すると、
- 環境温が上昇すると皮膚温は両群(若者及び高齢者)ともほぼ同時に上がり始めるが、直腸温は 若年者のほうが早く上昇し始める。
- 直腸温(深部体温)の上昇に伴い、皮膚血流量が増加する。(深部体温上昇を皮膚血流量増加により、深部体温を調整する。)
- やはり若年者のほうが早く皮膚血流量が増加し始める。(若者の方が発汗しやすい。)
- また、発汗率は若年者は皮膚血流量の増加にやや遅れて上昇し始めるが、高齢者は60~90分遅れてようやく発汗活動が見られた。
- しかも、発汗率の大きさは明らかに若年者よりも小さかった。
高齢者の体温調節機能の結論
上記の結果から、
- 高齢者は環境温の変化に対して身体内部の深部体温を一定範囲に保つ機能が低下している。
- 寒冷刺激及び暑熱刺激に対して体温調節系の反応は若年者よりも遅れる。
- 特に暑熱に対する強力な熱放散機構である発汗反応が弱い(皮膚血流量及び発汗率の低下)。
高齢者が熱中症や夏ばてになりやすい理由のまとめ
前回示した高齢者の細胞内液量の減少と今回の体温調節機能の低下により、高齢者は熱中症になりやすく、
また日常の食生活から摂取されるエネルギーの不足及びビタミンの不足が夏ばてになりやすい要因であると考えられます。