ロタウイルス感染症 (1)ロタウイルス感染症とは
ロタウイルス感染症 (1)ロタウイルス感染症とは
このところ、急性心筋梗塞、ヘモグロビンA1cと どちらかというと中年以降の病気を取り上げましたので、今回は小児の病気に目を移してみたいと思います。
ロタウイルス感染症の流行時期
乳幼児の冬の急性重症下痢症の最も主要な原因がロタウイルスによる感染症です。
秋から年末にかけてはノロウイルスが、1月から4月にかけてはロタウイルスが主に流行します。
発症しやすい年齢
日本では、6歳未満の小児の内、年間約80~120万人がロタウイルス胃腸炎で外来を受診し、5歳未満の約8万人が入院しています。年齢分布のピークは、生後1~2歳までです。
感染経路
患者の便1g中には10個~100億個ものウイルスが排出されます。ロタウイルスは感染力が非常に強く、10個以下のウイルスでも感染が起こります。このため患者の便中のウイルスが感染源となり、汚染された水や食物、あるいは汚染された物の表面(ドアノブ、手すり、床等)を触った手などから口に入り感染します。すなわち、すべて経口感染です。
症 状
嘔吐、下痢、発熱が主な症状です。
便の特徴
「米のとぎ汁のような白色の下痢便」が特徴で、主な症状は嘔吐と下痢ですが、ノロウイルスよりも発熱を伴う場合が多く、重症度が高いとされています。
通常1歳を中心に流行がみられますが、保育所、幼稚園、小学校などの小児や、病院、老人ホーム、福祉施設などの成人でも集団発生がみられることがあります。
潜伏期間は約2日で、激しい嘔吐(5~6回/1日)、激しい下痢が特徴ですが、3~8日程度で治まります。発熱は半日から1日で終わる場合がほとんどです。
激しい嘔吐や下痢により急激に水分を失いますので、乳幼児では脱水症状に気をつけましょう。
ロタウイルスのように局所感染を起こし、潜伏期間が短い感染症では、感染後の免疫が不完全かあるいは免疫が成立しても持続しない(1年以内)ので、感染を繰り返します。一般に、年長児や成人では感染しても発症しない(不顕性感染)場合が多いようです。
次回は治療法についてご説明いたします。