ロタウイルス感染症 (2)治療法と消毒法
ロタウイルス感染症 (2)治療法と消毒法
(A) 治療方法
現在、このウイルスに効果のある抗ウイルス剤はありません(2011年9月現在)。
脱水症を防ぐため、市販のイオン飲料を水で2倍以上に薄めて水分を補給しましょう。補給は少しずつ何度も飲ませて下さい。飲んでも吐いてしまう場合や白色の下痢便が見られた場合は、直ちに医療機関を受診してください。下痢止め薬は、ウイルスを長く腸内に留める事になり、結果的に病気の回復を遅らせますので使用しません。
(B) 二次感染の予防対策(家庭での消毒法)
(ご注意)
以下に紹介する方法は次回詳しくご説明しますが、あくまでも緊急に必要があった場合の対処法です。解説している計算式を良く理解できないとか、希釈が正しくできたかどうか不安な場合は絶対に使用してはいけません。また、あくまでも自己責任であることをご承知おき下さい。
以下の消毒液の濃度は、吐きだしたもの(吐瀉物)、便あるいはこれらが付着した床、テーブルや衣類の消毒法方であり、消毒後には水で消毒薬を希釈あるいは除去しています。直接人体に触れる皮膚の消毒あるいはプールや食器類など、人の口に入る物の消毒には絶対に使用してはいけません。その理由は、塩素濃度が大きく異なるからです。
それでは説明いたします。
患者の便や嘔吐物には大量のウイルスが含まれていますので、その処理には十分注意する必要があります。また、下痢の症状がなくなった後も、患者の便にはしばらくウイルスの排出が続いていますので、症状が治まっても汚物を処理する際には使い捨ての手袋を使用し、用便後や調理前の手洗いを徹底しましょう。
- 殺菌には熱湯あるいは0.05から0.1%の次亜塩素酸ナトリウムを使用します。アルコールや逆性石鹸には殺菌効果はありません。
- 調理器具、おもちゃ、衣類、タオル等は熱湯(85℃以上)で1分以上の加熱が有効です。
- 市販の塩素系漂白剤(通常は5から10%次亜塩素酸ナトリウム)なら50倍から100倍に薄めて使用します(消毒薬の作り方は、次回、詳しく説明します)。
(C) 汚物の処理方法(家庭での消毒手順)
- 患者の便や嘔吐物を処理するときは、使い捨ての手袋とマスクを着用する。
- 便や嘔吐物はペーパータオル等で取り除き、ビニール袋に入れる。
- 残った便や嘔吐物の上にペーパータオルをかぶせ、その上から50倍から100倍に薄めた市販の塩素系漂白剤を十分浸るように注ぎ、汚染場所を広げないようにペーパータオルでよく拭く。
- ウイルスは乾燥すると空気中に漂い、口に入って感染しますので、便や嘔吐物を乾燥させない。
- 汚物を入れ、入り口を縛ったビニール袋を何度も開けない(乾燥したウイルスを飛散させないためです)。
次回は家庭での消毒薬の作り方についてご説明いたします。