RSウイルス感染症 (2)診断法と重症化の見極め
RSウイルス感染症 (2)診断法と重症化の見極め
診断検査法
鼻の粘膜や鼻汁中にいるRSウイルスに対するモノクローナル抗体を使って迅速に簡易検査します。鼻の奥の鼻汁を取り、外来で簡単に検査することができます。
但し、問題点が2つございます。
- RSウイルス検査は保険適応がありません。そのため検査費用が全額負担となり、検査を一回するだけで数千円の自己負担が発生します。
- RSウイルス感染症であることを診断出来ても、対処療法を行うという治療方針が変わることはありません。
それでも医療の現場では、原因が何かを知っておく事で安心できる面がある事から、当院でもご両親に勧めますと、多くの場合、自費で検査を受けられる場合がほとんどです。
感染と経過
感染力が強く、飛沫と接触感染の両方で感染します。
11月頃から1月にかけて多く発症するウイルス疾患で、潜伏期は3~5日くらい。
39℃程度の発熱、鼻水、咳などの一般的な呼吸器症状を現します。
通常1~2週間で軽快しますが、一度感染しても免疫ができにくく、くり返し感染しながら徐々に免疫ができます。
重症化しやすい乳幼児
RSウイルス感染乳幼児の約1%が入院していますので、下記の重症化しやすいお子様のご両親は早めに受診されることをお勧めいたします。
・RSウイルス感染症は冬場(11月~1月)に乳幼児(1歳未満)に多く見られる呼吸器感染症です。
・乳幼児では急性細気管支炎、肺炎などの重い呼吸器症状をおこし易いので、元々呼吸疾患にかかりやすい子供さんには注意しましょう。
・特に2~6ヶ月ぐらいの乳児は免疫力が弱く重症化し易い。
・呼吸機能が未発達な低出生体重児の新生児・乳児期への感染や先天性心疾患、喘息などの呼吸器疾患を持つ子どもは重症化しやすい基礎疾患とされています。
ご自分の子供が重症化し易いかどうかを普段の生活の中で見極めましょう
入院されたり、重症化する乳幼児はRSウイルス感染児の中で、1%程度です。従って、鼻風邪程度の症状を現すRSウイルス感染の場合でも、大抵は大丈夫だろうと思いがちです。
実際、大抵(99%)は大丈夫ですが、1歳未満の小さなお子さんを持つご両親は、ご自分の子供が周りの子供達よりも呼吸器が弱くないかどうかを普段の生活で感じ取って下さい。
周りの子供達が大丈夫でもご自分の子供が大丈夫だろうという根拠はどこにもありません。普段の生活の中で、ご自分の子供の特徴(強さ・弱さ・愛らしさ・優しさ・甘えん坊なところ)を最も見極められているのは、医師よりもご両親ご自身です。少しでも呼吸器が弱く、風邪を引きやすい子供さんでしたら、早めに受診されることで重症化や入院を避けられます。
大切なあなたの子供を守れるのは、最も身近にいるご両親です。1歳未満で重症化して苦しんだり、入院してご両親が周りにいない不安を避けるためにも、普段の生活の中でご両親が子供の特徴と体調の変化を一番速く察知出来ます。
次回は、治療法について学びましょう。