食欲の秋にちなんで「逆流性食道炎」
食欲の秋にちなんで「逆流性食道炎」
食欲の秋を逆なでするかのような「いやみ」なタイトルで申し訳ございません。
食欲があっても腹八分目が健康には良いですね。
わかっていても食べ過ぎないようにと考えて、上記のタイトルとしました。
逆流性食道炎とは
胃酸や十二指腸液が、食道に逆流することで、食道の粘膜を刺激し粘膜にびらん・炎症を引きおこす疾患名です。
びらん:皮膚の上皮が破壊され、下の組織が露出した状態を指します。胃では、粘膜組織が欠損している状態で、潰瘍よりは軽い炎症の状態を意味します。
びらんは皮膚の損傷が皮膚でとどまっています。
潰瘍(かいよう):皮膚の損傷が真皮以下の組織にまで達しているものです(下の画像は引用先にリンクしてます)。
症状
胸焼け、みぞおちや上胸部痛が起こる。
食事中・後、横になったとき、前屈したときに喉や口に胃酸が逆流する。
胸部違和感、不快感。
喉の違和感、声のかすれ。
腹部膨満感。
嘔吐・多くは過度のげっぷを伴う。
要因
ストレス・過飲過食・飲酒。
食道下部括約筋の弛緩:喫煙や加齢による機能低下。
食道裂孔ヘルニア。消化不良。
検査
内視鏡検査:食道上皮に発赤やびらん・潰瘍、腫瘍がないか検査し、粘膜の色調の変化から判別を行う。
拡大内視鏡:血管走行や腺構造の違いが調べる。
治療
日常生活で消化の良いものを取り、過食をさけ、食後横になるなどの逆流を増強する行為を避け、就寝時には頭を高くする。
一般的な薬物療法では、胃酸を抑える薬剤を使用あるいは併用します。
・・・具体的には、胃酸分泌を抑制する(胃内を中和させる)目的でプロトンポンプ阻害薬やH2ブロッカーが用いられます。
また、胃内容の逆流防止、食道運動促進を目的に消化管運動機能改善薬が用いられます。
プロトンポンプとは、胃の壁細胞から塩酸(HCl)を分泌する際に必要な仕組みで、胃のプロトンポンプ(H+ポンプ)と言う酵素が働きます。
H2ブロッカー(ヒスタミン受容体阻害剤)とは、胃の壁細胞に存在し胃酸分泌を促進するヒスタミンH2受容体を阻害する薬剤で、胃潰瘍・十二指腸潰瘍といった消化性潰瘍の治療に用いられる医薬品です。作用機序としては、結果的に上のプロトンポンプの働きを抑制します。
<クリニックから>
胃食道逆流を悪化させる食物としては、高脂肪食をはじめチョコレート、アルコール、コーヒー、炭酸飲料、柑橘系ジュース、香辛料、玉ねぎ等が挙げられます。
美味しいものを沢山頂き、その結果、上記のような気持ちの悪い「症状」をきたし、治療費までかけることはありません。
食欲の秋は、美味しいものを少し頂くことが「最も幸せな食事」かも知れませんね。