ノロウイルス感染症 (3)感染及び流行の特徴
ノロウイルス感染症 (3)感染及び流行の特徴
(A) 感染の特徴
ロタウイルスの発症は2歳未満に限定されていたのに対して、ノロウイルスは乳児期から成人まで幅広く感染し、発症します。嘔気、嘔吐、下痢が主症状ですが、症状は比較的軽症です。ただし、高齢者や免疫力の低下した乳児では重症化して死亡することもあります。
感染力が強いため、家族や会社で一緒に食事をした後に、何人かが胃腸炎の症状を訴える。あるいは幼稚園や保育園、学校のような集団生活の場で、何人かに胃腸炎の症状が見られ、その時期が10~12月であれば、ノロウイルスの感染を疑いましょう。
(B) 流行の特徴
ロタウイルスは乳幼児、特に1~2歳児が大部分で、流行の時期は1~4月の胃腸炎でした。
RSウイルスは1歳までの乳幼児が11~1月に重症化する呼吸器感染症でした。
インフルエンザは呼吸器感染症であるRSウイルスほぼ同じ時期の11~1月に流行する呼吸器感染症です。
ノロウイルスは10~12月に流行する胃腸炎です。
(C) 冬期に流行するウイルスの流行時期のまとめ
10~12月:ノロウイルス(胃腸炎)・・・ノロ(鈍は「のろい」、「にぶい」と読みます)と言う事で、
年末になって出てくるので「のろい」と覚えましょう。
11~ 1月:RSウイルス、インフルエンザ(呼吸器症状)
1~ 4月:ロタウイルス(胃腸炎)・・・電子顕微鏡で見ると車輪のように見える事に由来した名前ですが、ローテーションから順番と言う意味もありますので、年明けにはノロに代わってロタの番と覚えましょう。
←ロタウイルスの電子顕微鏡写真
「しりとり」のように「ノロ」「ロタ」と覚えてもわかりやすいかも知れません。
何とクリスマスとお正月は、胃腸炎を起こすウイルスも食事を楽しんでいるかのようですね!
ノロとロタは食いしん坊なウイルなのでしょうか。そうではなく、年末年始の休みや規制のため、多くの人の集まりや、多数の人が一緒に食事をする機会が減ることで、一時的に流行が収まるのだと思われます。
そして何よりも一般家庭の方が、消毒や清潔を保つことの大切さを理解し、キチンと守られているからではないでしょうか。
冬にウイルス感染症が流行する理由は、また別の機会にご説明します。
次回は治療法と予防法についてです。