冬に感染症が流行るのはなぜかは? (1)空気の乾燥 (2)免疫力の低下
冬に感染症が流行るのはなぜかは? (1)空気の乾燥
(1)冬の空気が原因です
空気が乾燥する冬期には、
ウイルス中の水分が蒸発して比重が軽くなり、空気中にウイルスが浮遊しやすくなります。その結果、ウイルスは湿度の高い口腔や鼻腔の粘膜など、湿度の高いところに付着します。
冬期以外では、大気や皮膚表面の湿度も保たれているため、皮膚(表皮)に付着しても体内には侵入しません。
しかし冬期は湿度が低くて肌荒れを起こしやすいように、粘膜でも湿気が下がって損傷し、肌荒れのような状態になります。粘膜は薄いので粘膜の亀裂からウイルスが体内に侵入(感染)してしまうと考えられます。
湿度が40%以下の乾燥した部屋ではウイルスは30分間も漂い続けると言われています。
また、風邪を引いている人が室内で「くしゃみ」や「咳」をしますと、1回のくしゃみで口から出るウィルスは約100万個、咳で飛び出すウィルスは約10万個と言われており、換気の悪い閉め切った部屋はウイルスの住処(すみか)と言えるかも知れません。
また乾燥した外気により、咳やくしゃみの飛沫が小さくなり、飛沫に乗ったウイルスは、より遠くまで飛ぶため、一度のくしゃみや咳による感染範囲が広くなり、幼稚園・学校、混み合う電車やバスの中や街中など、人が多いところほど感染スピードが上がります。
(2)冬は人の免疫力が低下する
私達の体内で細菌やウイルスと闘い、身体を守ってくれるのが自然抵抗力と言われている免疫力です。この免疫力に大きく影響する要因の一つが体温です。体温が低下すると代謝活動が低下し、免疫力を担うリンパ球のエネルギーの産生も低下する結果、抵抗力が下がります。
乾燥により喉・鼻腔や気管支の粘膜が乾いた状態では、粘液でウイルスの侵入を防いでいる喉や鼻の粘膜が乾燥して傷み、ウイルスが体内に侵入しやすくなる結果、感染を起こしやすくなります。
<補足説明>
免疫力は生活環境(暑さや寒さ、他)、生活スタイル(規則的、不規則な生活、身体活動など)や心のストレス状態によってアップしたりダウンしたりします。
このときの免疫力と自律神経自律神経には「活動するときに働く交感神経」と、「休んだり眠ったりするときに働く副交感神経」があります。
この2つがバランスよく働いている時に免疫力はアップし、どちらかが一方的に働きすぎると免疫力は低下します。
免疫力と自律神経の関係は次の通りです。
・交感神経が優位に働く時 → 血圧・脈拍を上げて白血球の働きを増す
・副交感神経が優位に働く時 → NK細胞(ナチュラルキラー細胞)が活発になる
・・・・この自律神経のバランスは、寒暖の差だけでなく、心身のストレス状態、身体活動や食生活などによっても影響を受けます。
従いまして、バランス能力、あるいは恒常性の維持力を向上させる自然環境の中で生活することが良いのかも知れません。