冬に感染症が流行るのはなぜかは?(4)感染症にかかってしまったら?
冬に感染症が流行るのはなぜかは?(4)感染症にかかってしまったら?
(4)感染症にかかってしまったら?
a) 乳幼児・小児の場合
いつもの風邪に比べて重症感があるかどうかを判断するのはご両親になります。子供の体力と体調をいつもの風邪の場合と比べて判断していただくしかございません。迷った場合には、念のために早めに受診される事をお勧めいたします。重症化してからでは、回復までの間の受診回数が多くなったり、時間がかかる事で子供さんだけでなくご両親も子供さんの体調に合わせて長く看病する事になるからです。
b) 大人の場合
風邪やRSウイルス感染症及びインフルエンザだけでなく、ノロウイルスやロタウイルスによる急性胃腸炎でも嘔吐と下痢が続き、水分補給しないと脱水症を起こしてしまいます。
これらの場合、スポーツ飲料よりも糖分が少なくナトリウム量が多い「経口補水液」が有効です。
経口補水液は薬局店で販売されていますのでおたずね下さい。さて、大人の場合はご自身で体調管理を行い、受診されるかどうかの判断が必要です。大人の風邪が長引きますとご家族である子供さんや高齢者にも感染する機会が多くなりますのでご注意下さい。
c) 早期発見と早期治療が最も身体に負担をかけません。
それでは早期発見と早期治療のために私達は日頃どんなことに気をつけていればよいでしょうか?
- 自分の体調及び子供さんの体調を知る。 ご自分の体調の変化は自分自身が一番良くわかります。同時にご自分の子供さんの体調の変化や食欲の低下などに最も早く気がつくのはご家族であり、お母さんです。わずかな体調の変化を見過ごさないように、日頃からの観察と注意が必要です。
- 無理をしなければならない事は何でしょうか。 体調を崩し、睡眠不足となったり、子供さんの咳やくしゃみ、あるいは下痢や嘔吐の症状に早く気がついても、会社や学校を休めなくて、つい日頃の生活のペースを守ろうと無理をしがちです。この時、立ち止まってゆっくりと考えましょう。仕事も学校も勉強や部活も大事かも知れません。しかし、体調が崩れているのに「無理をしなければならない事」なのかどうかを立ち止まって考えましょう。無理をしてでも休めない仕事や学校のことがあることは十分承知の上で申し上げます。 それがごく普通の風邪のこともあれば、一命を左右しかねない病気の予兆であるかも知れません。恐らくは99%以上の確率で普通の風邪だろうと思いますし、誰もがそう願います。しかしどんなに確率が小さくても絶対に大丈夫だという確かな証拠はどこにもありません。
- まさかと思うような確率で若くして亡くなられた患者さんが多いことを思うと、例えあなたの子供さんが仮病かな?と思われるような状態であっても、医師は診察を行い、検査をして確かに大丈夫だとわかるまでは、「心配ありません。」とは言えません。なぜなら、心配ないという証拠がないからです。
- 大人で癌患者さんを診たときなど、もう少し早ければと思うことが少なくないからです。ご自身やご家族の健康と仕事や学校の重要さを比較することは難しいかも知れません。しかし比較し、天秤にかけざるを得ないところが人生の厳しさかも知れません。身体に無理をして仕事や学校を休まない(休ませない)こともあると思いますが、無理をした結果、休まざるを得ないことになる事もございます。後からもう少し早めに休んでおけば良かったと思い返すことの無いように判断を心がけましょう。
このシリーズはこれで終了とします。