マイコプラズマ肺炎 追補 (7)間質性肺炎とは
マイコプラズマ肺炎 追補 (7)間質性肺炎とは
過去のマイコプラズマ肺炎の説明で「間質性肺炎」と言う単語を用いて解説いたしましたが、この「間質性肺炎とは何でしょうか?」と言う質問が寄せられましたので、今回はマイコプラズマ肺炎の追補という形で「間質性肺炎」について説明させていただきます。
肺の構造
口から入った空気が通る道(気道)は喉頭を経て、気管の先で左右の気管支に分岐します。左右の気管支は肺に入った後さらに気管支枝、細気管支と分岐を繰り返し、終末は肺胞というブドウの房状となります。
この肺胞の外側には心臓からの血液が肺動脈を通り、この肺動脈が分岐を繰り返して毛細血管となっています。
ガス交換
この気道の終末の肺胞と肺動脈が分岐した毛細血管との間で空気中の酸素が赤血球に取り込まれ、赤血球中の二酸化炭素が肺胞へと排出されるガス交換が行われています。
間質とは
間質とは臓器と臓器の間や、組織と組織の間の膠原繊維を含む支持組織を言います。
すなわち異なる臓器間、組織間の接合部位を言いますので、肺の間質とは、肺の末梢である肺胞と血管の末梢である毛細血管が接している部分が肺の間質です。
間質性肺炎とは
肺の間質組織における炎症を間質性肺炎と言います。
肺は空気中の酸素を血液中の赤血球に取り込み、赤血球中の二酸化炭素を肺胞に排出するガス交換の場所です。
この間質部分に炎症が広がりますと、ガス交換が不十分となり、呼吸困難を生じます。
さらに間質性肺炎が進行しますと間質が線維化し、肺線維症となりますとガス交換が出来ないばかりか、元の間質の状態には戻りません。肺炎になった場合、放置せず早めに診察を受けて下さい。
肺炎
一般的に単に「肺炎」と呼んでいる疾患は、細菌やウィルスの感染が原因でおこり、その病変の場所は肺胞の内部(空気のあるところ)です。この点が一般的な肺炎とマイコプラズマ感染による間質性肺炎(マイコプラズマ肺炎)とが大きく異なる点です。
一般的な肺炎では、痰が出る湿った咳をしますが、間質性肺炎では痰の出ない乾いた咳をします。
間質性肺炎の原因は何ですか?
間質性肺炎をひきおこす原因は、肺に吸い込んだカビ、粉、金属粉、石綿などに対する反応や、抗癌剤、抗生物質、不整脈の治療薬、漢方薬の一部など多くのものが知られています。これらの原因物質で引き起こされた間質性肺炎では、白血球数が増加したり、血液中に炎症性の物質(CRP)が増加することはほとんどありません。他方、マイコプラズマの感染では、白血球の上昇やCRPの増加は比較的軽度ですが生じます。
間質性肺炎についてご理解いただければ幸いです。他にもご質問や疑問、あるいは理解しにくい箇所がございましたら遠慮無く、お問い合わせ頂ければ幸いです。