ドライアイの季節(4) シェーグレン症候群<2>
ドライアイの季節 (4)シェーグレン症候群<2>
シェーグレン症候群の診断・検査
前回述べたように様々な症状を呈するシェーグレン症候群ですが、これらの症状は程度の差こそあれ、だれもが経験する症状でもあることから、確かにシェーグレン症候群に起因するものなのか、それとも一時的に健康人に現れた症状であるのかを見極めることが必要です。その基準には厚生省診断基準というものがあり、医師はこの基準にもとづいて診断にあたります。
シェーグレン症候群の厚生省診断基準
1)生検組織におけるリンパ球浸潤を確認します。
2)口腔検査で次のどちらかを行います。
a)唾液腺管造影:口腔内の唾液腺導管の開口部から逆行性に造影剤を注入し、唾液腺導管の形態をエックス線で撮影するものです。しかし、この検査所見には特異性がありません。
b)ガム試験:ガムをかんで十分間に分泌される唾液の量を計るものですが、この検査も特異性はありません。10分間ガムをかみ、10ミリリットル以下であればシェーグレンらしいとのことですが、ガムの味にもよりそうですね。
3)眼科所見で涙の分泌低下を調べる。
4)血液検査
シェーグレン症候群は自己免疫疾患である事から、自己の成分に対する抗体(自己抗体)を調ぺるて診断基準とします。シェーグレン症候群にかなり特異的な自己抗体として抗SS-A/Ro 抗SS-B/La抗体があります。どちらも核タンパク質に対する抗体ですが、どちらかが陽性になればシェーグレンと言うことです。
以上の厚生省の診断基準の他に、リウマチ因子という検査もありますが、これは関節リウマチに、より特異性が高いとされています。しかし、原発性シェーグレン症候群においてもかなり高率に陽性を示します。
β2マイクログロブリンはシェーグレン症候群においても上昇するといわれています。
これはリンパ球をはじめとする様々な細胞で産生され、また組織適合性抗原(HLA抗原)、有核細胞の細胞膜構成蛋白として存在しています。血清中でこの値が高い症例は、腎障害、リンパ球系に異常が現れる合併率が高く、予後がよくないとされています。
シェーグレン症候群の治療
残念ながらシェーグレン症候群発症の原因が、現在解明されていないことより、この疾患を対症的に治療することはできても、治癒させるまでには至っていないのが現状です。
医師にとっても、患者にとっても治療における現時点での目標は、目・口・鼻・関節の症状を薬で抑えながら、普通の生活に近づける事を考えて治療します。
以上でドライアイのシリーズをいったん終了します。