電解質の役割 (18)高カリウム血症の心電図所見と症状の関係

電解質の役割 (18)高カリウム血症の心電図所見と症状の関係

高カリウム血症の際には、心電図の波形にも明確な変化が見られます。
その概略について触れておきます。

(1) 心筋細胞が収縮する際、細胞レベルでは電解質の出入りを生じ心筋細胞は脱分極します。その後、弛緩する際には、電解質が元の状態に戻ろうとしており、この過程を再分極と言います。心筋細胞は再分極の過程で細胞内から出て行ったカリウムが細胞内に戻ってくる過程です。

(2) この時、高カリウム血症の状態にあると、細胞外のカリウム濃度が高いため、カリウムチャネルを通して一気に再分極してする結果、心電図波形で再分極を意味するT波が高い山(テント状T波)(下図の左)として現れます。

(3)  また、「(2) 腎不全で何が問題か?で述べたように、低ナトリウム状態であるため、心房の脱分極を示すP波が消失します。これは脱分極の際に心房の細胞内にナトリウムが流入しますが、細胞外のカリウム濃度が高いため、ナトリウムが流入しても細胞内外で電位差を生じない状態と考えられます。

(4)  心室の収縮を意味するQRS波の幅が高カリウム血症では広がります。これは心室の中の電気の流れが悪くなり、心室筋の収縮時間が長くかかっている状態(QRS延長:上の図の中央)を示しています。

(5) 上の図の右で示した波形は、テント状T波とQRS延長が結合した状態を示す波形で、サインカーブの波をしめすと、心停止直前の状態であると考えられます。

これらの心電図上の変化から、高カリウム血症による脈の乱れ、息切れ、手足のしびれなど、不整脈によるこれらの症状をご理解いただけるのではないでしょうか。

これまで「電解質」については、わかりにくいと感じて来られた方々が多かったと思いますが、この機会に一部分でも「電解質は解りやすい!」と感じていただけますと、以後、このシリーズの理解は飛躍的に進むと期待します。

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