肺炎(1) 肺炎の統計と肺炎の原因
肺炎(1) 肺炎の統計と肺炎の原因
肺炎の統計
肺炎により、年間11万人以上の人が亡くなられており、死亡原因では肺炎は第4位です。
(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000bx23-att/2r9852000000byee.pdf の図1を参照して下さい。)
また、肺炎による死亡の95%は65才以上であることから、肺炎球菌ワクチンの接種により予防される事をお勧めいたします。
最近の傾向として、抗生物質が効きにくくなったこと、高齢者が増えたことが肺炎患者が増えている理由と考えられています。
特に65才以上の高齢者では、肺炎になっていても症状が乏しく、自分では肺炎になっていると感じないので、治療が遅れることが多く、早めの通院治療が必要です。
肺炎の原因
肺炎の原因には、
1)肺炎球菌やマイコプラズマのような細菌性肺炎。
2)インフルエンザやRSウイルスのようなウィルス性肺炎。
3)真菌(カビ)といった微生物による感染性のもの。
4)薬剤由来の間質性肺炎のように非感染性のもの。
などを含めて広く肺の炎症性疾患を肺炎と呼んでいますが、原因により症状や治療法が異なります。
しかし、インフルエンザシーズンにおける細菌性肺炎の50%が肺炎球菌によるものです。
(但し、今年はマイコプラズマによる肺炎が目立っています。)
この肺炎球菌は健康な人の口の中に常在していますので、体力が低下しているときや高齢者になり免疫力が弱くなってくると肺炎を引き起こします。
肺炎球菌ワクチンとは、肺炎球菌によって引き起こされるいろいろな病気(感染症)を予防するためのワクチンです。
クリニックから
この時期の肺炎の原因は、主にウイルス(インフルエンザ、RSウイルス)、細菌(肺炎球菌、マイコプラズマ)です。これらについては、すでにこのサイトでもご紹介させていただきました。
この中で、ワクチンがあるものはインフルエンザと肺炎球菌です。
RSウイルスが重症化する例は、2歳以下です。検査は保健適応がございませんが、簡単に外来で検査の結果を出せます。インフルエンザも迅速キットで簡単に調べられます。
検査で調べられないのは肺炎球菌とマイコプラズマです。但し、マイコプラズマは感染後2週間ほどで抗体が上がってくれば検査でわかります。
従いまして肺炎球菌とインフルエンザのワクチン接種を受けておきますと、肺炎の原因として残っているのはRSウイルスとマイコプラズマになりますので、2歳以下ならRSウイルス検査をして陰性であれば、残りはマイコプラズマという事になります。
上記に述べたことはワクチン接種の有無と咽頭粘液の検査で判断できることですが、他にも患者さんの症状やレントゲン検査などからもさらなる原因の絞り込みと確定診断ができます。より迅速に肺炎の原因を絞り込むことで、早期に適切な治療を開始できますので、特に呼吸器疾患や選定性の疾患をお持ちの子供さんや65歳以上の方は、インフルエンザや肺炎球菌のワクチンを接種されることをお勧めいたします。
次回は肺炎の症状と診断について述べます。