医者を青くするもの (4)柿の皮
医者を青くするもの (4)柿の皮
(A) 「柿が赤くなれば、医者が青くなる」とは
柿が実をつけて赤くなる頃は、気候がよく、病人が減って、医者が困ると言う意味です。
しかしその季節(11〜12月)には、柿だけではなく、みかん、ゆずなども、実をつけて、 色づき、食べ物が豊富で、病人が少なくなると言うことであれば、一昔前の食糧難の時代の「ことわざ」なのかも知れません。
加えて、冷蔵庫がなかった時代では、 夏場には食べ物が腐りやすく、食中毒なども多かったからかも知れません。
つまり、柿とは関係なく、秋になれば病人が減り、医療機関では患者さんが減って経営が困るという事になりそうです。
(B) 柿の渋味は?
柿の渋みは豊富に含まれるタンニンという成分に由来します。
タンニンには、下痢を緩和する働きがありますので、便秘には不向きです。
また熟した柿には、
デヒドロゲナーゼ(アルコール分解酵素)、
シスチン(肝機能を高めるアミノ酸)、
カリウム(利尿作用)等が含まれ、二日酔いに効きそうです。
できれば飲酒前、または飲酒の最中に柿を食べると、より効果が期待できそうです。
加えてビタミンC、ビタミンK、ビタミンA(カロテン)、B1、B2、ミネラル(特にカリウム)、食物繊維なども豊富です。となると確かにお医者さんも困ってしまいます。
しかし、問題は柿の「実」ではなく「皮」です。
それでは早速、柿の有効性を示した論文をご紹介しましょう。
タイトル:Pharmacological activity of compounds extracted from persimmon peel
訳:「柿の皮から抽出される化合物の薬理活性」
研究者:Fukai S1, Tanimoto S, Maeda A、他。
研究機関:近畿大学、システムエンジニアリング
公表雑誌:J Oleo Sci. 2009;58(4):213-9.
(C) 結果
柿の皮の成分には、 2-メトキシ-4-ビニルフェノール が含まれている事が知られています。
この物質は高い抗酸化活性を有することが解っています。
生体における細胞核のDNAを損傷する紫外線は、毛や皮膚のメラニン色素で吸収されており、年月と共に酸化されてシミであるリポフスチンを形成します。
このメラニンを酸化する酵素がチロシナーゼであり、ここに柿の皮成分であるメトキシビフェニルが抗酸化作用を有するとなれば、美肌や美白の維持に強く関連する事が示唆されます。
<私見>
柿の葉の抗酸化作用に目を付けた岐阜県農業技術センター野菜・果樹部、及び国際バイオ研究所と岐阜薬科大は柿の果皮から化粧品を作ろうとしています。
上の論文では、柿の葉に抗酸化成分が含まれていることを報告しただけであり、動物実験などによる有効性に関しては確かめられていません。
従って、どの程度の柿の皮を摂取すれば有効性が期待できるかについては不明です。
どちらかというと、摂取するよりも柿の葉を粉末にして化粧水や化粧クリームに混ぜて使うほうが良さそうです。