医者を青くするもの (5)柿の実
医者を青くするもの (5)柿の実
タイトル:Persimmon fruit tannin-rich fiber reduces cholesterol levels in humans.
訳:「柿のタンニン豊富な繊維は、ヒトのコレステロールを減少させる」
公表雑誌:Ann Nutr Metab. 2013;62(1):1-6.
研究者:Gato N1, Kadowaki A, Hashimoto N, Yokoyama S, Matsumoto K.
概要
胆汁酸結合作用のある物質は、血液コレステロールを下げることが知られており、高コレステロール血症の治療のために、臨床的に使われています。
そこで今回、研究者らは柿から採取したタンニンの豊富な繊維が胆汁酸結合性特性を持つことを示しており、この柿のタンニンを含む食物繊維がヒトのコレステロールを減少させるかどうかを検討しました。 <参考情報:食物繊維 (8)高コレステロール血症の改善には>
方法
人にタンニンの豊富な繊維を摂取することでコレステロール低減効果を調査するために、無作為二重盲検プラセボ対照試験を行いました。
40人の被験者(血清総コレステロールが180-259mg/dl)を次の3つのグループに分け、1日3回の食事の前にタンニンの豊富なクッキーを12週間摂取してもらいました。
a) 繊維が0g(プラセボ群、n = 14)
b) タンニン3g(低用量群、n = 13)
c) タンニン5g(高用量群、n = 13) に分けました。
各グループの参加者は、食するクッキーにどれくらいのタンニンが含まれているかを知りません。
結果
次のことが示されました。
1) 低用量群と高用量群で、血清総コレステロールレベルは減少しました。
2) 高容量群では、LDLコレステロールが減少しました。
3) これらの改善は、HDLコレステロールまたは中性脂肪には影響を及ぼしませんでした。
上記の結果から、著者らは「柿果物に含まれるタンニンの豊富な繊維は、高コレステロール血症の治療に有効である可能性が示された。」と結論付けました。
<私見>
干し柿100グラムには14グラムもの食物繊維が含まれています。
干し柿の重さは30~40グラムですので、一個食べればタンニンを含む食物繊維を5グラム程度摂取できます。
つまり、干し柿でLDLコレステロールを下げられそうです。これなら医者を青くすることが出来そうです。干し柿がLDLコレステロールを下げるという効果は、貴重な情報です。
但し、干し柿の栄養成分を見ますと、100グラム中の炭水化物は71.3グラムもございますので、ご飯は減らす必要がありそうです。
渋柿から干し柿を作る理由
甘い柿から干し柿を作ることはほとんどありません。多くが渋柿から干し柿を作ります。
その理由は、渋柿から作った方が、干し柿になったときに甘くなるからです。
表面の白い粉状に見えるものは糖が表面にしみ出たものです。
渋柿が甘くなる理由
渋柿が渋いのは、シブオールというタン ニンが含まれているからです。
シブオールは水溶性のため、食べると唾液に溶けて渋く感じます。
渋柿を干すことでタンニンが水溶性から不溶性になり渋く感じなくなります。
また干すことで水分が抜けて糖度が高くなり、干し柿の甘味は、甘柿の約4倍にもなります。
これで柿についてはバッチリですね。