臓器移植の実施状2011
臓器移植の実施状2011
厚生労働省は2011年10月25日、臓器移植の実施状況等に関する報告書を公表した。
移植希望登録者数は、平成23年9月30日現在、全国で、
心臓 190名、
肺 1 4 9名 、
心 肺 同 時 5名 、
肝 臓 3 6 5名 、
腎臓 1 1 ,993名、
肝腎同時 12名、
膵臓 49名、
膵腎同時 141名、
小腸 4名、
眼球(角膜) 2,518名 と報告した。
移植実施数
平成22年度には、39名の者が脳死と判定されており、臓器移植の実施例数の詳細は上記のリンクを参照いただきたいが、概要は次の通りです。
心臓 27例
肺 29例
肝臓 39例
腎臓 206例
膵臓 30例
小腸 3例
角膜 1677例
上記の内、心臓、肺、肝臓、膵臓、小腸はすべて脳死者からの移植であったと報告しています。
移植結果
移植の結果についても、上記リンク先の5ページにあるが、概要は次の通りであった。
なお下記のデータは、平成9年10月16日(臓器移植法の施行の日)以降実施された心臓、肺、肝臓、腎臓、膵臓及び小腸の移植に関する5生存率を示します。
心臓 95%
肺 74%
肝臓 80%
腎臓 91%
膵臓 96%
小腸 83%(但し、4年生存率)
なお、リンク先の表にある生存率と生着率の違いの詳細については触れていません。
クリニックから
需要と供給のバランスから言えば、一人の人に一つしかない臓器である心臓については、27/190×100=14%の需要しか満たしていないが、つい5年前までの心臓移植件数は一桁に過ぎなかった。
その理由は、2008年にWHO(世界保健機関)がドナー(臓器提供者)の自給自足(自国で確保する事)を宣言した事による。すなわち、それまでの日本は諸外国の移植希望リストに登録して、外国人枠の中で臓器提供を受けてきた。
その背景には、諸外国の善意に加え、例え募金で移植のための費用を工面したとしても、日本の経済的優位性があったが、いかにもお金で臓器が経済的に優位な国に多く行き渡る事による各国の社会的批判があった。
他方、脳死に対して国民のコンセンサス(合意)が得られていないという理由から、脳死を人の死とする事を長年避けてきたが、この「合意」を待っていたなら国内で脳死による心臓、肺、肝臓、膵臓、小腸の移植は今でも行われなかったことになる。こう考えるならまだまだ臓器は不足しているが、徐々に脳死は受け入れられつつあるのだろうと思われる。
しかしながら現状のままでは、移植希望者の需要に供給が追いついていないのは事実である。このことに関してまったく将来が悲観的かと言えば、必ずしもそうではない。ただ、国内では臓器不足解消のための研究がほとんどなされていないが、諸外国の研究機関ではその方向性は明らかに示されている。私にはまだ日本の研究者は臓器提供を受けられないまま亡くなられている方々の事は他人事であり、研究者の尻に火が付いてないように感じられる。