脱水 (8)小児が脱水になりやすい理由
脱水 (8)小児が脱水になりやすい理由
以前の(3)脱水の検査の(C)では、代謝系から小児が脱水を起こしやすい理由についてご説明しました。
また、前回の「(7)小児の水分割合」 では、次のような「水分に関する小児の特徴」についてご説明しました。
1) 子供は大人に比べて身体に占める水分の割合が高いだけでなく、
2) 体重当たりの尿排出量も多く、
3) 加えて代謝に伴う皮膚からの水分排出も多い事がわかります。
今回はもう一度、小児が脱水になりやすい理由について整理しておきたいと思います。
(A) 身体における水不足の影響
体重の約2パーセントの水分が失われると、のどの渇き、食欲がなくなるなどの不快感に襲われます。
約6パーセント不足で、頭痛、眠気、よろめき、脱力感に襲われ、情緒も不安定になります。
10パーセントの不足では、筋肉の痙攣を引き起こし、循環不全、腎不全を来します。
それ以上になると、意識が失われ、
20パーセントの不足で死に至るという報告があります。
<具体例>
「(7)小児の水分割合の(B)体重あたりの水分量は?」 で示した通り、体重に対する水分割合は、成人に比べて小児のほうがはるかに高かったですね。
60キロの成人では、水分割合が60%なので、36キロの水分です。他方、
10キロの小児では、水分割合が70%なので、7キロの水分です。
成人と小児それぞれが、体重の10%の水分が失われた場合、
60キロの成人では、6キロの水分が失われ、これは水分量36キロの1/6(17%)に相当します。
10キロの小児では、1キロの水分が失われ、これは水分量7キロの1/7(14%)に相当します。
成人の17%に対して小児は14%と、わずかな差であっても、個体の小さな小児の方が、より速く水不足に至りますので、小児のほうがはるかに水分不足の状態に至り、その症状も成人に比べて深刻な症状を表します。
(B) 発熱・嘔吐・下痢など、子供の体調に気をつけて欲しい
発熱を伴うノドの風邪やお腹にくる風邪などは、特に注意が必要です。
特に嘔吐や下痢は、ウイルスなどの病原体を身体から排出するための大切な防御反応ですが、これが長く続くと身体から大量の水分と塩分など(胃液・腸液)が失われて脱水状態になってしまいます。
(C) 乳児・幼児は、脱水症になりやすい。その訳は? -もう一度確認しておきましょう-
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子供の身体は、水分量が70~80%と、大人に比べて水分量が多く維持されている。
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成人に比べ、身体の水分量を調節する機能が未発達なため、脱水を起こしやすい。
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新陳代謝が活発で体重当たりの尿量も多いため、身体の水分を失いやすい。
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大人に比べ免疫力(抵抗力)が低いため、ウイルスや細菌が身体に入りやすく、また胃腸が弱いので嘔吐・下痢をおこして体内の水分を失いやすい。