おしゃれとリスク (10)染毛剤の有害性 地域医療に貢献する おしゃれとリスク (10)染毛剤の有害性 前回は、白髪染めの染毛剤成分であるパラフェニレンジアミン(PPDA:下図の左)やパラトルエンジアミン(PTDA:下図の右)などのジアミン系薬剤がかぶれの原因物質である事を示しました。 そこで今回は、上記の物質の有害性について、もう少し詳しくご説明します。 パラフェニレンジアミン(PPDA)やパラトルエンジアミン(PTDA)の作用機序 日本産業衛生学会により公表されている「有害物質の許容濃度の勧告(2014)」によれば、パラフェニレンジアミン(PPDA)の許容濃度(mg/立方メートル)は、0.1mg/立方メートルと定められています。 ここで示す「許容濃度」とは、労働者が1日8時間,週間40時間程度、肉体的に激しくない労働強度で有害物質に曝露される場合に、ほとんどすべての労働者に健康上の悪い影響が見られないと判断される濃度を意味します。 −どう低く考えても有害物質であることは否めません。− そしてこれらの物質は、環境ホルモン、 発がん性物質としても知られ、20年以上毛染めを続けている人は、リンパ腫を発症することが多いと言われています。 これが事実であれば、若い頃から毛染めを続けることは、リンパ腫のリスクを積み上げている事になると考えられます。 上の化学物質の分子量は小さく、皮膚を通過し細胞内にまで吸収されます。 皮膚は、分子量3000以上の物質は吸収できませんが、 3000以下だと皮膚から吸収されます。 800以下になると、細胞の中に入り込み、 300以下になると、血管に侵入します。 従いまして、洗剤類に含まれる合成の界面活性剤は、分子量200以下ですし、上に挙げたジアミン系染毛剤も皮膚から身体に入り込みます。 そしていずれも洗っても簡単には落ちません。つまりこれらの色素が蛋白質と結合しているので、染まって見えるのです。 次回は、染毛剤によるアレルギー(接触性皮膚炎)についてご説明します。