三重県ドクターヘリ 運行開始
三重県ドクターヘリ 運行開始
2012年1月27日、三重県は「空飛ぶ救急治療室」運行開始を公表した。http://www.pref.mie.lg.jp/TOPICS/2012010290.htm
このヘリは野村證券の寄付で2つの基地病院が2か月ごとに交代しながら2月1日から運航を行う。2~3月、6~7月、10~11月は三重大学医学部附属病院、4~5月、8~9月、12~1月は伊勢赤十字病院を基地病院とする。
大変高価なドクターヘリの寄付を頂いた事に関しては、感謝する気持ちはあるし、このヘリの活用により一人でも多くの命が救われることを期待している。
しかしながら、ドクターヘリの運行が必要のない身近な病院の救急体制はどうだろうか。救急患者の受け入れ拒否やたらい回しはどれほど改善されたのだろう。仮に無事病院に到着しても、到着した患者さんに必要な専門医が不在であったり、多くは医学部卒業後4年以内の研修医であることが少なくないのが多くの救急医療の現状ではないだろうか。
ドクターヘリやドクターカー(医師が同乗している救急車)が普及することで、確かに治療はより迅速に進められる面はあるし、より専門的な医師の待機を要請することも可能になると期待できる。同時に、一人の医師が病院を離れることで、その間に別の救急患者が来院した場合のスタッフの不足が生じる。
医師の数については、以前「医師の概要」http://takamidai-clinic.com/?p=2005B8%AB%E6%95%B0 で示した通りであり、今なお救急搬送の受け入れ拒否で患者さんが亡くなられているケースが相次いでいるとの報道も少なくない。
医師不足あるいは救急体制の不備による「救急患者の受け入れ拒否」の第一の原因は、医療スタッフの不足であり、各診療科の専門医が待機できない現状を改善できなければ患者さんは運び込まれたけれど、(専門医による処置が)間に合わなかったと言うことになる。医師が少ないのだから医師を増やそうと考えない事が疑問で仕方がない。