りんご病(伝染性紅斑) (2)症状と合併症
りんご病(伝染性紅斑) (2)症状と合併症
前回は、りんご病の「(1)原因と感染経路」についてご説明した「(B)原因は?」をご理解いただけますと今回の「症状や合併症」についての理解の助けになると思います。
(A) 感染をうけやすい人
多くは小児期に感染し、幼児期~学童に多く、春から初夏にかけて流行することが多いとされています。しかし、小児期に感染していない場合は成人でも感染します。
一度感染すれば一般的には再感染しないとされていますが、日本人の妊婦さんの感染率は50%以下であるとされているため、半数以上の妊婦さんがこのウイルスに感染する可能性があります。
妊婦さんが感染すると胎児にも感染する危険性がありますが、その理由は、「原因は?」で説明したとおり、胎児にもウイルスのレセプターとなるP抗原が発現されているからです。
感染の結果、胎児の貧血とそれに伴う子宮内発育遅滞や胎児水腫が認められることがあります。
妊婦さんのいる家族内でりんご病が発生した場合には、産婦人科で相談して下さい。
(B) 症状・合併症
発疹が出る1週間~10日位前に発熱、筋肉痛、倦怠感がみられることがあります。
両側の頬の発疹から始まり、1~2日後には肩から腕、大腿に赤い発疹が出現し(下図参照)、数日後にはまだらなレース編み模様になります。
発疹は痒みを伴うことが多く、通常5~7日で消えますが、いったん消失した発疹が日光や運動などによって再び出現してくることがあります。
まれに脳炎・脳症、心筋炎などの合併症を引き起こすことがありますが、その理由は、「原因は?」で述べたとおり、これらの臓器にもエリスロウイルスのレセプターとなるP抗原が存在しているからです。
用語説明
胎児水腫
胎児の皮膚がむくみ、更にお腹や胸の中、あるいは心臓の周囲に液体がたまっている状態を指します。死産に至るケースもありますし、生まれても心不全状態で出生後になくなる事もあります。
次回は、りんご病の診断と治療についてご説明します。