白血球 (11)福島第一原発事故における発症リスクについて
白血球 (11)福島第一原発事故における健康被害について
原発事故後、「ただちに健康に影響を与えるものではない」と、周辺住民や国民に対して、パニックにならないようとの配慮からか、再三聞かされた。
放射性物質の取り込みや放射線を被曝することによる健康被害は以下の二つに分類されますが、これらは原爆による健康被害の分類で、放射線被曝線量が低くて、長い場合についてはわかっていません。
(1)急性障害:被曝後数日から数ヶ月以内に発症する健康被害。高熱が出る、口腔から腐敗臭が出る、髪の毛が抜ける、皮膚に青斑点が出るという4個の兆候の後、死亡するものです。
(2)晩発性障害:数年以降に発症する健康被害。甲状腺がん、白血病、ぶらぶら病など20年以上の経過観察が必要となります。
(1)と(2)の間に発症した健康被害は、亜急性障害と分類されます。
さて、当時の枝野幸男官房長官が記者会見で「ただちに健康に影響を与えるものではない」というのは(1)について説明していたと理解されます。
しかしながら、(2)については触れませんでした。被曝による健康被害には、(1)と(2)があるのですが、枝野官房長官は(1)はないと説明しているるばかりで、(2)についてはどうなのでしょうか。
たびたび記者会見の様子が放映されましたが、取材記者から「晩発性障害についてどうなのか」との質問はないままでした。
すなわち、政府による広報は「急性放射線障害」という用語を使わずに、「ただちに健康に影響を与えるものではない」と表現していただけです。
しかしながら、この発表を聞く人によっては「放出された放射線や放射性物質が健康に影響がない。」と受けとめた一般人がいるかも知れないと思いました。あるいは、「放射性物質による被曝でも健康被害はない。」と思わせているのかも知れないとも考えられました。
少なくともこのような不十分な説明を繰り返すことで、「晩発性放射線障害」が存在しないかのように錯覚を与える危険性はあると考えられます。