止血の機序 (1)止血と凝固
止血の機序 (1)止血と凝固
(A) 止血とは
怪我をした際、血液の流出を止めることを止血と言います。
以下ので述べる止血は、大量出血における止血方法に関する説明ではなく、小さな出血の場合を意味しています。
血管の損傷が小さい場合には、凝固・線溶系と呼ばれる機能があり、血液の凝固作用によって血液の流出(出血)を止める事を止血と言い、その仕組みを凝固系と言います。
また血管そのものにも損傷個所で収縮して、流出を抑えようとする機能が備わっています。
このシリーズでは、止血の機序(凝固系)についてご紹介します。
(B) 凝固とは
凝固とは、血液が固まること。正常では、血液は血管外に出ると流動性を失って凝固し、止血効果を現します。
凝固では、血小板が刺激によって構造が変化して活性化されます。
そして損傷個所の細胞表面の細胞膜上に細胞接着因子が発現され、ここに血小板が接着して血小板が繋(つな)ぎ止められます。
さらに血液中の凝固因子が血中に溶けているフィブリノーゲン(繊維原)を凝固させたフィブリン(繊維素)に変え、出血部位で血小板や血球細胞を覆って凝固させ、いわゆるカサブタが作られて止血されます。
すなわち止血の機序とは、血液凝固の仕組みを学ぶことです。
(C) 血餅(けっぺい)とは
月餅(げっぺい)ではありません(下図)。これは中国のお菓子ですね。
採血した血液を容器に入れて空気にさらして室温で放置すると、上澄みと凝固部分に分れます。
この上澄みを血清と言い、凝固した部分を血餅(けっぺい)と言います。
上のイラストは、大分大学医学部付属病院の検査部のサイトから引用させて頂きました。
血餅を構成する成分は、赤血球と白血球、血小板及びフィブリン(繊維素)で、止血や創傷の治癒などに重要な役割を果しています。
(D) 凝固系
血液が固まる(凝固する)までの仕組みは、2段階の仕組みに分かれており、これを凝固系と言います。
次回は、止血の仕組み(凝固系)についてご説明します。