止血の機序 (5)納豆キナーゼの効果1
止血の機序 (5)納豆キナーゼの効果1
発酵した大豆から作られ納豆は、煮た大豆を納豆菌で発酵させて作られます。
納豆菌が煮た大豆に作用するとき結果として納豆キナーゼが産生されます。
この納豆キナーゼは、血栓溶解作用、血液サラサラ効果が証明されています。
キナーゼとは
リン酸化酵素とも呼ばれる酵素に付けられる名前です。
今回の納豆キナーゼは、納豆中に線維素(フィブリン)分解活性の強いセリンプロテアーゼが発見され、これをセリンというアミノ酸を分解する納豆キナーゼと名付けられました。
納豆キナーゼの発見以来、納豆が血栓症の予防食としての期待が寄せられています。
但し、繊維素分解作用はあくまでも納豆の成分であり、納豆そのものの効果ではありません。
そこで今回、納豆キナーゼの血栓溶解作用を調べた以下の報告をご紹介します。
と言うよりも、このシリーズの目的は、納豆成分による止血効果をご紹介させて頂く事です。
タイトル:Nattokinase improves blood flow by inhibiting platelet aggregation and thrombus formation
訳:「納豆キナーゼは、血小板凝集と血栓形成を阻害することによって血流を改善する」
研究者:Ja-Young Jang1#, Tae-Su Kim2#, Jingmei Cai1,
研究機関:College of Veterinary Medicine, Chungbuk National University, Cheongju, Korea
公表雑誌:Lab Anim Res 2013: 29(4), 221-225
(A) 血小板の粘着機序
塞栓による動脈の閉塞を血栓症と言います。
この詰まりものの成分は、血栓であり、これが脳の血管に詰まれば脳梗塞、心臓の血管に詰まれば心筋梗塞を発症する主な原因の1つです。
血栓の形成では、血小板の凝集が重要な役割を演じます。
すなわち血管壁が損傷すると、血管内皮細胞の下にある組織でコラーゲンが露出します。血管内皮細胞で産生されたヴォン・ヴィレブランド因子(vWF)のような粘着性の物質が露出したコラーゲンに結合すると、血小板を活性化し、さらには血小板の接着と凝集を促進します。
(B) 納豆キナーゼ
納豆キナーゼは納豆に豊富に含まれる血栓溶解酵素であり、枯草菌によって大豆の発酵の間に生産されます。
この 納豆キナーゼが試験管内で血栓を溶かす作用が確認されています。
そこで研究者らは、凝固系を調べる検査方法の過程に、納豆キナーゼを添加することで血液の凝固に変化が見られるかどうかを検討しました。
研究の内容については次回ご紹介させて頂きます。