花粉症 (5)スギ花粉症とヒノキ花粉症の関係
花粉症 (5)スギ花粉症とヒノキ花粉症の関係
3~4月にスギ花粉症が、5~7月にはヒノキ花粉症が発症しやすい時期です。これは同時に花粉の飛散時期でもありますが、この2つの花粉症に関係はあるのでしょうか?
この問題、すなわちスギ花粉症とヒノキ花粉症の関係について調べた研究報告をご紹介します。
1995年、名古屋市立大学の耳鼻咽喉科の先生方が「Ann Allergy Asthma Immunol. 1995 Apr;74(4):299-303.」と言う雑誌に発表しています。
研究論文のタイトルは、Specific IgE to Japanese cypress (Chamaecyparis obtusa) in patients with nasal allergy.。 訳してみますと、「鼻アレルギー患者におけるヒノキ(ヒノキ)に特異的IgE」というタイトルです。 研究の要約は次の通りです。
研究の背景
スギは春に花粉症を引き起こす最も重要な花粉です。近年、多くの患者の鼻炎症状はスギ花粉の季節の後に悪化しています。日本のヒノキに対する花粉症もこの期間に観測されています。
そこで今回、ヒノキ花粉症によるアレルギー性鼻炎患者の患者さんでは、ヒノキとスギの間に交差アレルギーの影響が存在するかどうかを検討した。
研究対象と方法
267名の花粉症患者さんについて、スギとヒノキの両方の花粉に対するIgE抗体を測定した。
さらにIgE抗体測定の結果を皮膚試験と比較した。
さらにこれら二つの花粉の間の交差アレルギー誘発性を比較するために、アレルギー反応の阻害試験を行った。
研究結果
267名の患者ではヒノキ及びスギ花粉症は、それぞれ50.1パーセントと74.7パーセントであった。
そして2つの花粉の間で、有意な相関(r = 0.765)は、が観察された。
ヒノキに対する血液検査と皮膚反応試験の間に良好な一致(75%)が見られた。
IgE抗体の阻害試験の結果は、これら2つの花粉の間で樹木に特異的なアレルゲン間の交差抗原性が示された。
結論
ヒノキに対するIgE抗体の測定は、春の花粉症の診断に有用である。
私見
上記の研究結果は、スギ花粉症の患者さんの75%はヒノキの花粉にも反応する可能性が証明されました。
この75%とは、スギ花粉症の患者さんは、スギの花粉に対する反応に比べて、ヒノキの花粉に対しては75%程度の反応性を示すというものです。
スギ花粉症の患者さんの75%が同じようにヒノキの花粉に反応すると言う事ではございません。
またヒトによっても反応性は違いますし、地域によってもスギの花粉は飛散しても、ヒノキの花粉はあまり飛散しないなど地域環境によっても異なります。