平成24年度看護師等養成所の開校等について
平成24年度看護師等養成所の開校等について -看護師不足に関する課題意識-
厚生労働省は4月25日、看護師養成所の開講に関して、下記のサイトで公表した。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000028ad3.html
これまでもこのサイトで、看護師不足の問題は、労働条件の改善が一向に進んでいなことを指摘してきた。
- 101回看護師国家試験の合格発表 2012年3月26日 http://takamidai-clinic.com/?p=2596
- 特定看護師の試験導入事業 2011年8月30日 http://takamidai-clinic.com/?p=1500
加えて、経済連携協定により外国人看護師を受け入れることで、労働条件の改善に目をつぶろうとしている国の姿勢も指摘してきた。
どんなに数多くの看護師を養成しようとも、就業継続が困難な現状に、ほとんど目が向けられていない。
そこで今回、就業継続に視点を当てた報告を調べてみた。
下記の報告埼玉医科大学内の限られた状況であるが、それでも現状の一端を伺い知ることが出来る。
http://www.saitama-med.ac.jp/jsms/vol35/01/jsms35_113_119.pdf
この「看護師の就業継続に寄与する因子」と言う報告の中で、表1.対象者の施設別属性 の年齢構成と就業年数を見れば明らかである。
上記の表から抜粋すると、看護職員の構成を年代別で見ると以下の通りであった。
20歳代の看護職員 1368名(59.4%)
30歳代の看護職員 539名 (23.4%)
40歳代の看護職員 198名 (8.6%)
50歳代以上の看護職員 155名 (6.7%)
全体の看護職員の平均年齢は30.3±9.4歳であったと報告されている。
上記の構成年齢からわかることは、看護職員の半分以上(ほぼ6割)が、20歳代の看護師で構成され、30歳代の23%を加える、看護職員の8割以上が40歳未満である事がわかる。40歳代以上の看護師(50歳代以上を含めると)は、看護職員全体の15%ほどしかいない。
看護職員の就業年数は、
1年未満 222名(9.6%)
1年から3年未満 507名(22.0%)
3年から5年未満 417名(18.1%)
5年から10年未満 489名 (21.2%)
10年以上 628名(27.3%)
すなわち看護職員の半数が5年未満で退職し、10年未満では70%を超えている。
この調査報告では、就業月数に寄与する因子(就業継続の要因)として、
①配偶者と同居、
②進学するとしたら感染看護学領域を希望すること、
③臨床の現場で継続教育や研究活動を通じて解決したい課題を抱えていること。を指摘している。
すなわち、家族の協力と仕事に対する希望並びに課題意識を持っていることが、仕事の継続につながっていることを示した。 さらに詳細をお知りになりたい方は、上記のサイトをご覧頂きたい。
-看護師不足に関する課題意識-
このような現状をより詳細に調査・検討することで、現在の看護業務に対する労働条件の改善やよりよい医療を目指している貴重な人材を育てていける労働環境にすることは、国民の健康と病気療養時の基盤になると考えて欲しい。