解らないこと ・・・・・解らなくても当然でした。
解らないこと ・・・・・解らなくても当然でした。
今頃になってしまいましたが、2015年10月、二人の日本人がノーベル賞を受賞しました。
一人は、ノーベル医学生理学賞の大村智(さとし)氏・北里大学特別栄誉教授。「寄生虫による感染病に対する新しい治療法の発見」で受賞されました。
もう一人は、ノーベル物理学賞を受賞された梶田隆章(たかあき)氏・東京大宇宙線研究所長で、「ニュートリノに質量があることを示すニュートリノ振動の発見」が評価された。
どちらも恐らく権威のあるノーベル財団が評価した研究成果である事は間違いありません。
しかしながら、その成果の有用性(その研究が何の役に立つか)に関しては、どうも大きく評価が分かれているように思われます。
そこで昨年10月のノーベル賞の発表から少し時間が経過したところで、その評価の違いについて検索してみました。・・・・ニュートリノに質量がある事の発見が何の役に立つのか?
大村智氏の研究の有用性
大村氏はこれまで微生物の生産する有用な天然有機化合物の探索研究を45年以上行い、450種を超える新規化合物を発見してきました。それらの化合物の中には感染症などの予防・撲滅、創薬、生命現象の解明に役立つ多くの化合物が社会に貢献していると高く評価されています。
また、「WHOによると、2006年に感染者の発生があったアフリカ13地域において、85%以上の住民に対してイベルメクチン治療が行われた結果、2011年末までに13地域のうち10地域で疾患の感染伝播を阻止することができた」と治療薬の評価は多大な成果を示しています。
大村氏自身も「人の役に立つ研究」を目指してきたことが何度もマスコミを通して伝えられました。
梶田隆章氏の研究成果
素粒子であるニュートリノについて研究し梶田氐は、1998年に3種類あるニュートリノの一つ「ミューニュートリノ」が長距離を移動すると約半分に減っていることを発見しました。さらに生成されたニュートリノの種類が別のニュートリノに変わる「ニュートリノ振動」という現象の存在を証明しました。
これまでニュートリノには質量がないとされてきましたが、ニュートリノ振動が存在することからニュートリノが非常に小さいものの質量を持つ証拠を発見したことになるそうだ。
難しすぎて解らない事 ・・・・ニュートリノに質量がある事が解ると何の役に立つの?
果たして、ニュートリノに質量があることが解ると、この発見は何の役に立つのか?と言う疑問にどう答えるかに私は注目していました。
しかし、権威あるノーベル賞受賞者に対して面と向かって「何の役に立つの?」とはなかなか聞きにくいことです。
その理由は、聞く側に知識がないことを恥ずかしく思うからではなく、そんな難しい問題に取り組んできた人に聞いては失礼に当たらないかと遠慮するからです。
しかし、私もこの質問をしてみたかったのですか、それを面と向かって訪ねたマスコミの人がいる事をネット検索で見つけました。それは以下の a) と b) のお二人です。
a) 一人はニュース番組の司会者、タレント、アナウンサーである小倉智昭氏。
b) 他の一人は、タレントであり、ニュースキャスターでもある小山 慶一郎氏。
c) 三重大学 教養教育機構長・井口靖氏。こちらは学問研究の立場における見解を公開。
そして上記の a) と b) によれば、ご本人にも「ニュートリノに質量がある事が解ると何の役に立つの?」という質問に対しては、少なくとも質問者が納得できるような回答はなさそうに思えます。
自分は一般人で良かった
上記の a) と b) に紹介したお二人は、よくぞ質問してくれたとお礼を言いたい思いです。
なぜなら、ノーベル賞受賞を単純に喜ぶだけでは物足りないのです。
なぜ、ノーベル財団に評価されたかは別問題であり、その研究成果が今後どのように役立つのかという極めて素朴な質問です。・・・・これを真正面から投げ方たことはある意味で、一般マスコミとして単純に研究の成果の意味も理解せずに受賞を喜ぶマスコミよりは遙かに真面であると考えたいと思います。
他方、上記 c) のご意見は、いかにも学問的な立場であり、社会的な有用性に関しては触れようとしていません。彼自身はそれで満足で、何ら疑問を感じていないかも知れませんが、カミオカンデの上をいくスーパーカミオカンデを使った研究では、100億円もの事業費がつぎ込まれたのである。
そして今後、さらにその上をいくハイパーカミオカンデには、800億円もの事業費が計画されています。
全額が税金ではないにしても大半が税金である事は間違いではなさそうです。
恐らく、上記 c) の井口氏は、学問研究とはそんなものと納得されているように思われますが、一般人である私は、そんな回答では納得できません。
なぜなら、その研究目的は「知的追求」であり、その研究の有用性は「後生に委ねる」と言われて、さらに「100億円かかりました」で、皆さんは喜べるでしょうか?
100億円とは、年収1千万円の人が1000年働いた労働の対価に相当します。
また、一般的な年収を500万円と仮定すると、なんと2000年間働いた労働の対価に相当する莫大な研究費が投じられたことになります。・・・・その結果が何の役に立つのかと言う質問に対しては、多くの一般人には理解できない有用性の回答を期待していたのではないでしょうか。
と言う事で、ご本人にも答えられない質問だったようでしたので、私が解らなくても当然でした。