インフルエンザの最新点滴治療薬について
インフルエンザの最新点滴治療薬について
当院で使用し始めた塩野義製薬の「インフルエンザ治療薬ラピアクタ点滴用」についてご紹介します。
このインフルエンザ治療薬の点滴薬は2010年1月に世界で先駆けて日本で発売され、10月には小児への適応も承認されました。しかし、昨年は発売された時期には、多くの医院でインフルエンザの治療薬として他の薬剤を準備されていたため、私達の所でも使用する機会がございませんでした。
この薬剤もタミフルやリレンザと言った既存のインフルエンザ治療薬と同様にノイラミニダーゼ阻害作用により、鼻や喉(のど)のウイルスが感染した細胞内で増殖したインフルエンザウイルスが細胞外へ出るときに、細胞膜の糖鎖を分解する酵素(ノイラミニダーゼ)の活性を阻害する事により細胞外へ出られなくする事で、症状の改善を促します。
従来のインフルエンザ内服薬や吸入薬が5日間の治療で得られた効果が、15分間の点滴を一回行うだけで、確実な効果が期待できます。また、内服薬や吸入薬よりも細胞内への吸収がより確実に期待できる点で、有効性が高いだろうと考えられています。さらに、何らかの事情で内服できないとか、あるいは吸入できない小児の患者さんにも使用が考えられています。
この薬剤が期待される理由のもう一点は、薬剤を国内で製造できる事です。従来の内服薬及び吸入薬はいずれも輸入しなければならず、2008年の世界中で感染が拡大した新型インフルエンザ騒ぎでは、治療薬の世界的な需要のため輸入困難な事態が起こってしまいました。
当院では昨年の承認時には、副作用症例の報告・評価が少ない事から使用を見合わせていましたが( http://www.shionogi.co.jp/ir/news/detail/101027.pdf ) 、2011年1月には大人への使用を経験し、即効性と有効性については従来の薬剤を明らかに超える薬剤との判断に至っています。