医者を青くするもの (73)玄米5
医者を青くするもの (73)玄米5 -小麦胚芽摂取量と糖尿病発症リスク-
前回の「(72)玄米4 -玄米食の頻度と2型糖尿病の発症リスク-」では、アメリカ人における玄米食の頻度と2型糖尿病発症のリスクについて下記の報告からご紹介しました。
今回は下記の報告から、玄米食だけでなく、「小麦胚芽摂取量と2型糖尿病のリスク」の関係についてご紹介します。
アメリカにおける玄米食と白米食の2型糖尿病における有効性
タイトル:White rice, brown rice, and risk of type 2 diabetes in US men and women.
訳:「アメリカ人の2型糖尿病リスクにおける白米と玄米について」
研究者:Sun Q, Spiegelman D, van Dam RM, Holmes MD, Malik VS, Willett WC, Hu FB.
研究機関:Departments of Nutrition, Epidemiology, and Biostatistics , Harvard School of Public Health.ハーバード大学の栄養学、公衆衛生学、生物統計学研究室の研究です。
公表雑誌:Arch Intern Med. 2010 Jun 14;170(11):961-9.
方法 -全粒粉の摂取割合と糖尿病発症リスクの検討-
「(70)玄米2の方法」でご説明した3つのグループ(HPFS、NHS I、およびNHS II)それぞれで、玄米に加え、全粒粉を摂取五分位(Q1 ~ Q5 の割合)で加えた場合の2型糖尿病発症リスクについて検討しました。
なおここで言う「5分位」とは、5段階の階級に分けたと言う意味です。
但し、3つの各グループにおける玄米食の摂取頻度は同じでも、以下の条件が異なるため、ばらつきを調整しました。
すなわち、全粒粉の摂取割合における構成年齢や人種、BMI、喫煙状態、アルコール摂取、サプリメントの使用状況、身体活動量、糖尿病の家族歴、閉経の状態とホルモン剤の使用状況、総エネルギー(キロカロリー/日)と赤肉、果物や野菜摂取量です。
そしてグループ間のバラツキを調整することで、3グループ間における影響要因を取り除いて、グループ間の差を無くし(固定化し)て、「3つのグループをまとめた相対リスク」を調べました。
結果 -データは沢山ありますが、まずは概略を把握しましょう-
表4がその結果です。
HPFSグループに玄米に加えて、全粒粉の摂取レベルを5.1%、12.6%、20.4%、29.9%、47.1%の5つの割合(Q1 ~Q5 )で加えた場合の2型糖尿病の発症リスクを調べました(下表の青色四角部分です。下の表をクリックし、リンク先を大きく表示させてご覧下さい。)。
また、NHS I及びNHS IIについても、それぞれQ1 ~Q5 の摂取レベルは、それぞれ3.6~31.3%、及び6.2~40.0%を加えた場合の2型糖尿病発症リスクを調べました。
その時の、
<1> Q1 の発症リスクを1.0としてQ2~Q5について相対的に評価した。
<2> Q2の発症リスクは、相対リスクとして95信頼区間を示した。
<3> Q3 の発症リスクは、同様に相対リスクとして評価した。
<4> Q4 の発症リスク
<5> Q5 の発症リスク
最も右列の「P for trend」は、有意水準を意味しています。
結果 -たくさんのデータの中で注目すべきポイントはココだけ!-
上記リンク先の表4で、左列の中段に示されている「固定効果モデル」の相対リスクと95%信頼区間をご覧下さい。
この固定効果モデルとは、上の方法で述べた3つのグループにおけるグループ間における影響要因を取り除いて、グループ間の差を無くし(固定化し)て、「3つのグループをまとめた相対リスクとその信頼区間」と言えます。
(71)玄米3の<相対リスクについて>の(2)に示したように、表4の()内の信頼区間が「0(ゼロ)」をまたいでいないのは、上の表の赤色四角で囲んだ部分です。