医者を青くするもの (83)タマネギの皮に含まれるケルセチン0 地域医療に貢献する 者を青くするもの (83)タマネギの皮に含まれるケルセチン0(ゼロ) ケルセチンとは ケルセチンは柑橘類、タマネギの皮部分(下図左)、ソバ、リンゴ、ブドウ、ブロッコリー、モロヘイヤ、ラズベリーをはじめ多くの植物に含まれる下の化学構造を有するポリフェノールで、右下の化学構造で現されます。 <化学的に見ると> ポリフェノールとは、分子内に複数のフェノール性ヒドロキシ基(ベンゼン環、ナフタレン環などの芳香環に結合したヒドロキシ基、ベンゼン環に直接ヒドロキシ基)を持つ植物成分の総称です。 つまり、下のフェノールの性質を持つ化学構造がポリ(たくさん)ある構造をポリフェノールと言います。 ーOHとなっていることから〜ノールと言い、アルコール類のように思いがちですが、アルコールではなく、また水酸基としての性質でも無く、酸としての性質を持ちます。 その理由は、下記の構造の-OH部分から水素イオン(H)が外れやすいからです。 ではなぜ、水素イオンが外れやすいかは、有機電子理論に基づき、酸素周囲の電子がベンゼン環上の電子と化学構造上で共有しあうこと(共役と言います)で、分子構造がより安定化するからです。 ケルセチンは黄色い色素で、古くから染料としても用いられてきたビタミン様物質(ビタミンP)の一部ですが、抗炎症作用を有することが知られています。 ケルセチンの作用 その抗炎症作用は、ヒスタミンの生成や遊離など炎症に関与するいくつかの過程を抑制するためと考えられています。また強い抗酸化作用を示す他にも細胞増殖阻害作用も報告されています。 これらの作用から以下のような効果が期待されています。 抗酸化作用 ケルセチンは高い抗酸化作用があり、LDLコレステロールの酸化を防ぐため、動脈硬化、心筋梗塞等、生活習慣病予防にも期待されています。 抗炎症作用 ケルセチンはヒスタミン、アレルゲンの活性を抑制するため、花粉症やアレルギーにも効果が期待されています 骨粗鬆症予防 ケルセチンの細胞増殖阻害作用から、骨粗鬆症における砕骨細胞の分化を抑制することで、骨粗鬆症を予防する効果が期待されています 肝臓脂肪蓄積予防効果 ケルセチンには、体重、肝臓脂質量、中性脂肪量などを減少する作用が指摘されていることから、メタボ及び脂肪組成の改善、食後の収縮期血圧の低下が明らかにされています。 <私見> タマネギの皮には、ケルセチンが多く含まれていることが解りましたが、これを摂取する方法は、簡単そうではないように思えます。 しかしながら、アマゾンでも「タマネギの皮 粉末」として販売されていました。 と言う事は、すでに知っているヒトは何らかの方法で飲むか食べるかしているのでしょう。 次回以降、ケルセチンの有効性に関する研究をご紹介させて頂きたいと思います。