生活保護に占める高齢者世帯のデータから見えること(2)
生活保護に占める高齢者世帯のデータから見えること(2)
厚生労働省は、2016年6月1日、平成28年3月までに保護を受けている世帯の受給状況を把握し、公表しました。
上記のデータから、今回は都道府県別データを見ていきましょう。
生活保護世帯が多い都道府県は?
上記リンク先の「3.都道府県統計表」から、「データを .xls 形式でダウンロードできます。 」のデータを見ていきますと、生活保護世帯数の多い都道府県は、多い順に以下の通りです。
都道府県 生活保護世帯数 総世帯数(但し平成22年) 10万世帯当たりの保護率
東京 223,945 6,382,049 3,509
大阪 56,695 3,823,279 1,483
埼玉 50,686 2,837,542 1,786
北海道 50,396 2,418,305 2,084
福岡 39,429 2,106,654 1,872
千葉 37,911 2,512,441 1,509
神奈川 26,085 3,830,111 681
総世帯数は、まだ平成27年の国勢調査結果が公表されていませんので、平成22年時点の総世帯数を代用して、10万世帯当たりの生活保護率を計算してみました。
平成22年時点の総世帯数は、総務省統計局の世帯にある「2 -20 都道府県,世帯の種類別世帯数及び世帯人員(エクセル:34KB)」から数値を利用しています。
それでも東京都における高齢世帯の生活保護率が3,509世帯と最も高いことが解ります。
この結果をどう評価するか?
終戦後(昭和20年)の混乱期から多くの人が生活のために仕事を求めて大都市に集中しました。・・・・いわゆる集団就職の時代です。
昭和25年頃10代だった若者は、現在65才を超え、多くは団塊の世代と呼ばれてきました。
そして彼らがその後における日本の高度経済成長を牽引したと言えます。
しかしながら、その団塊世代の多くは、都市部で退職後の生活を過ごそうとしています。
つまり、労働人口としての需要が高く、物質的な繁栄をつかみ取ってきた都市部の団塊の世代は、今まさに都市部で生活困難を目前としているのでしょうか?
だとすれば、経済成長のために利用されたことにならないでしょうか?
次回は、高齢者で生活保護の割合の少ない都道府県を見ていきましょう。