栄養と寿命 (5)ビーガン食の健康状態に及ぼす影響
栄養と寿命 (5)ビーガン食の健康状態に及ぼす影響
2009年、Winston J Craigがアメリカの栄養専門の学術雑誌「Am J Clin Nutr, May 2009; 89: 1627S – 1633S.」に発表した「HEALTH AND NUTRITIONAL STATUS OF VEGETARIANS:Health effects of vegan diets」と言う総説の紹介の続きです。
「菜食主義者の健康と栄養状態:絶対菜食者の健康状態」と言う報告について、前回の続きを始めます。
ビーガン食の栄養状態
ビーガン食は、食物繊維、マグネシウム、葉酸、ビタミンCとE(鉄と植物化学物質)で通常より高い食事であることがわかってきました。
他方、ビーガン食では、飽和脂肪とコレステロール、脂肪酸、ビタミンD、カルシウム、亜鉛とビタミンB12が低い傾向があります。
ビーガン食による健康状態に及ぼす影響
一般に、ベジタリアンの食事では、心血管疾患、肥満、2型糖尿病(生活習慣による糖尿病)とある種のガン発症率は低いとされています。
それに比べてビーガン食は、病気の予防となる栄養素や植物由来成分の摂取がより多いことから、慢性疾患に関わる食物要因をさらに小さくしていると考えられています。
最近の報告でも、慢性疾患の発症率低下に影響する様々な植物性食品群が疫学的調査により明らかにされており、ビーガン食は高く評価されています。
さらに、世界保健機構と食糧農業機関(WHO/FAO)の栄養基準に従った評価でも、ビーガン食は果物と野菜の高い摂取量に関連し、発ガンリスクが低いことも評価されました。他方、骨粗鬆症の発症については、問題点も指摘されています。
またビーガン食は、様々な穀物を消費する事で、結腸・直腸ガン、2型糖尿病、心血管疾患のリスク減少についても評価されています。
それでは、次回はこのようなビーガン食を摂取した人々の病気の発症状況についてより具体的に見ていきましょう。