栄養と寿命 (6)ビーガン食による心血管疾患の発症に及ぼす影響
栄養と寿命 (6)ビーガン食による心血管疾患の発症に及ぼす影響
前回、(5)ビーガン食の健康状態に及ぼす影響の「ビーガン食の栄養状態」で示したよう、ビーガン食では、飽和脂肪とコレステロール、脂肪酸、ビタミンD、カルシウム、亜鉛とビタミンB-12が低いことを示しました。
ビーガン食による血液検査の結果は?
ビーガン食は、他のベジタリアン食に比べても、総コレステロール値およびLDLコレステロール値が低く、多くの報告で、この食事の摂取により緩やかに血圧が低下することが示されています。
この血圧低下は白人だけでなく、アフリカ系アメリカ人でも同様で、BMIは、ラクト・オボ・ベジタリアンに比べても低い事が多くの報告で明らかにされています。
さて肥満は、心血管疾患や脳血管疾患の重大な危険因子であることから、ベジタリアンで観察されたBMIの低さは、血中脂質をも低下させています。
ところがビーガン食は、雑食のベジタリアンと比べても、果物や野菜の実質的消費量が大きく、繊維、葉酸、食物性の酸化防止成分、抗酸化成分の摂取が大きい事が明らかにされています。
ビーガン食による心血管疾患の発症に及ぼす影響
ビーガン食では他のベジタリアンよりもより低い血中コレステロール濃度を誘導することで、脳卒中や虚血性心疾患の発症率が低いことから、これらの疾患による死亡のリスクが低い事が指摘されています。
さらにビーガン食は、全粒穀物の消費量が多く、大豆、ナッツ類などによる重要な心臓保護効果がもたらされている可能性が示唆されています。
BMIについて
体重と身長の関係から算出されるヒトの肥満度を表す体格指数です。一般にBMI(Body Mass Index)と呼ばれています。 計算式は、BMI=体重(Kg)/身長(m)×身長(m)。 WHOでは25以上を「標準以上」、30以上を「肥満」としています。 一方、日本肥満学会では、BMI=22の場合を標準体重としており、 25以上の場合を肥満、18.5未満である場合を低体重としています。
ビーマン食では、BMIを改善し、血中コレステロールを下げることで心血管疾患を発症しにくくしているようです。
次回は、ビーマン食による癌の発症についてご紹介します。