栄養と寿命 (7)ビーガン食の発癌に及ぼす影響
栄養と寿命 (7)ビーガン食の発癌に及ぼす影響
癌発症率低下の要因は?
ベジタリアンとノンベジタリアンの健康調査の比較から、ノンベジタリアンはベジタリアンよりも大腸癌と前立腺癌の発症率が大幅に増加していると言う多くの報告がなされています。
この結果から、ベジタリアンの食事には、何らかの食事由来の癌発症予防要因が示唆されています。
さらにノンベジタリアンに比べて、ベジタリアンにおけるBMIの低さは、肥満の解消のみならず、発癌の抑制にも何らかの関係が示唆されるに至っています。
そしてビーガン食を摂取しているヒトの平均BMIは、ベジタリアンのBMIよりさらに低いことから、BMIの低さが癌発症のリスクを低下させるための重要な要因である可能性が考えられています。
しかしながら、ベジタリアン食やビーガン食が発癌を抑制しているのか、彼らの食生活の結果としてBMIが低下し、肥満ではないことで発癌率が低いのか、ベジタリアン食と発癌との関係に関わる要因ついては、なんら説明できていないとの指摘や疑問も少なくありません。
(私見:ここで述べている発癌とは大腸癌と前立腺癌に関してのみです。 また、ベジタリアンよりもビーガン食でこれらの癌の発症が低いという結果もまだ示されていません。 発癌率の低さは食事による影響だけでは説明できていないと言うのが現状のようです。)
発癌を抑制する食物中の要因は?
ベジタリアン食を中心とした食事の摂取により、消化器系の発癌率が明らかに低下していることから、ベジタリアン食の発癌抑制成分に目が向けらる研究も行われています。
例としてビーガン食では、豊富な種類のマメ科植物、果物や野菜、トマト、ニンニク、葉物野菜、繊維、ビタミンCを摂取しています。
これらの食品にふくまれる栄養素が、癌の発症に対して保護的に作用しているのではないかと考えられています。
特にマメ科植物を一定量規則的に摂取する事は、胃癌、前立腺癌に対する防御作用が高い事が疫学的調査から示されています。
一方、果物と野菜は、肺、口、食道、胃などの消化管において、癌に対する防御作用が示唆されています。
その根拠としてアリウム野菜(タマネギやニンニク、ラッキョ、ネギ、ワケギ)は、胃癌、大腸癌に対する保護作用を示し、食物繊維、ビタミンC、カロテノイド、フラボノイドは、様々な癌に対しても防御作用を示す可能性が示唆されているからです。
(私見:さまざまなベジタリアン食では、多くの野菜が摂取されることから、それらの野菜由来の成分が消化器癌や前立腺癌の防御に関連している可能性が示唆されています。)
次回は、このようなベジタリアンの食事により豊富に摂取される抗癌成分について見ていきましょう。