辛い食べ物と寿命の関係 (1)辛い食べ物は寿命を延ばす?
辛い食べ物と寿命の関係 (1)辛い食べ物は寿命を延ばす?
一言で、「辛い食べ物は、身体に良いか?」と単純な質問は、「良い」の意味が曖昧です。
そこで次のように言い換えてはどうでしょうか?・・・・「辛い食べ物は、寿命を伸ばすか?」。
もし、「辛い食べ物の摂取と寿命と関係があるなら、辛い食べ物をどれくらい摂取すればどれくらい寿命が伸びるのか?」が明確に示される必要があるのではないでしょうか。
この疑問に対する答えに近い下記の研究報告をご紹介します。
タイトル:Consumption of spicy foods and total and cause specific mortality: population based cohort study
訳:「辛い食べ物の摂取頻度と全死亡率及び原因別死亡率の関係」
研究者:Jun Lv, associate professor,1 Lu Qi, associate professor,2,3 Canqing Yu,他。
公表雑誌:BMJ. 2015; 351: h3942.
研究機関:Department of Epidemiology and Biostatistics, School of Public Health, Peking University Health Science Center, Beijing 100191, People’s Republic of China
Department of Nutrition, Harvard School of Public Health, Boston, MA, USA
Channing Division of Network Medicine, Department of Medicine, Brigham and Women’s Hospital and Harvard Medical School, Boston, MA, USA
はじめに
スパイスは、世界中の料理で使用され、香料、着色料、食品保存など様々な役割を担っています。
スパイスに含まれる辛味成分であるカプサイシンは、「辛さ」だけでなく、癌の発生率を下げることが示されました。
また、赤唐辛子の摂取が、食欲やエネルギー摂取量を減少させることで、肥満予防効果にもつながることから、心血管疾患や消化器疾患の減少にもつながる有益な役割が指摘されています。
さらにスパイスが抗菌活性を示し、腸内細菌叢にも影響を与えることから、糖尿病、心血管疾患、肝硬変、及び癌のリスクにも関連している可能性が示唆されて来ました。
しかしながら、「辛い食べ物」を摂取する研究で、死亡率が下がるのか?
あるいは特定の疾患による死亡リスクに影響しているかどうかは示されていません。
この研究では、これらの疑問について調査する事を目的に行われました。
方法1 −調査対象母集団-
中国全土の10の地域から50万人の30~79歳の成人を2004~2008年の間に登録し、合併症と死亡率を追跡調査しました。
但し、登録時に脳卒中、ガン及び心臓病の持病のある人は除外し、追跡調査できなくなったヒトも除外し、最終的に、男性199,293人、女性288,082人について、辛い食べ物の消費に関する情報を収集・分析しました。
方法2 -辛い食べ物の消費量の評価-
辛い食べ物に関するアンケートは、次の質問をしました。
「過去一月の間に、どのくらいの頻度で、熱い辛い食べ物を食べていたのですか?」
その回答の選択肢は、次の通りです。
週に1回未満。
週に1~2回、
週に3〜5日、
週に6~7回。
上の質問で、後の三つのカテゴリー(週に1~2回から週に6~7回)を選択した参加者には、さらに次の質問を行いました。
「あなたが辛い食べ物を摂るときに使用するスパイスの原料は何ですか?」
その回答は、次の複数の選択肢を選ぶことを許可しました。
新鮮な唐辛子、
乾燥唐辛子、
チリソース、
唐辛子油、
その他または不明。
結果1 辛い食べ物の摂取頻度とライフスタイル
表1は、辛い食べ物を摂取した頻度別、男女別にこの調査に参加した人の平均年齢、BMI、糖尿病の割合、高血圧の割合、家族の病歴、身体活動量、辛い食べ物の摂取量を示しています。 詳しい説明は省略させて頂きますので、関心のある方はリンク先を参照して下さい。
表2は、この調査研究に参加した 487,375名の「辛い食べ物の摂取頻度」と「総死亡率及び原因別死亡率」の関係を表しています。
次回以降、表2の詳細についてご説明させた頂きたいと思います。