辛い食べ物と寿命の関係 (4)辛い食べ物の摂取頻度と死因別死亡リスク
辛い食べ物と寿命の関係 (4)辛い食べ物の摂取頻度と死因別死亡リスク
今回は、下記の報告から「辛い食べ物の摂取頻度と死因別死亡リスク」についてご説明させて頂きます。
タイトル:Consumption of spicy foods and total and cause specific mortality: population based cohort study
訳:「辛い食べ物の摂取頻度と全死亡率及び原因別死亡率の関係」
研究者:Jun Lv, associate professor,1 Lu Qi, associate professor,2,3 Canqing Yu,他。
公表雑誌:BMJ. 2015; 351: h3942.
研究機関:Department of Epidemiology and Biostatistics, School of Public Health, Peking University Health Science Center, Beijing 100191, People’s Republic of China
Department of Nutrition, Harvard School of Public Health, Boston, MA, USA
Channing Division of Network Medicine, Department of Medicine, Brigham and Women’s Hospital and Harvard Medical School, Boston, MA, USA
結果3 辛い食べ物の摂取頻度と死因別死亡率の関係
<1.辛い食べ物の摂取頻度とガン死亡リスクの関係> ・・・少し下がる。
下の図で、辛い食べ物の摂取頻度とガンの死亡リスクの変化は、「オレンジ色の◆の曲線」が示しています。
上のグラフでは、「辛い食べ物の摂取頻度が上がると、ガン死亡リスクが下がるのか?」どうかはハッキリしません。
表2のガン死亡のモデル3の行のハザード比と95%信頼区間は、週に6-7回の摂取の場合、0.92 (0.85 to 0.99)と現されており、週に1回未満の摂取に比べ、死亡リスクがわずかながら低下する事が解ります。
<2.辛い食べ物の摂取頻度と虚血性心疾患死亡リスクの関係>
・・・黄色の曲線は、死亡リスクが下がる事を示しています。
上の図で、辛い食べ物の摂取頻度と虚血性心疾患の死亡リスクの変化は、「黄色の曲線」が示しています。
上のグラフからは、辛い食べ物の摂取頻度が週に3-5回で死亡リスクが大きく低下しているように見えます。
実際に低下しているかどうかの科学的判断の根拠は、表2で週に3-5回摂取と週に6-7回摂取のハザード比とカッコ内の95%信頼区間は、モデル3でそれぞれ、0.75 (0.61 to 0.94)と0.78 (0.67 to 0.89)であり、虚血性心疾患の死亡リスクを減らしています。
<3.辛い食べ物の摂取頻度と脳血管疾患の死亡リスクの関係> ・・・下がらない!
上の図で、辛い食べ物の摂取頻度と脳血管疾患の死亡リスクの変化は、「緑色の▲曲線」が示しています。
実際に低下しているかどうかの科学的判断の根拠は、週に3-5回摂取と週に6-7回摂取のハザード比とカッコ内の95%信頼区間は、モデル3でそれぞれ、0.86 (0.73 to 1.01)と0.96 (0.87 to 1.07)であり、95%信頼区間は「1」をまたいでいる事から、脳血管疾患の死亡リスクは摂取頻度が週に1回未満に比べ、辛いものを食べても死亡リスクは減少していないと言う結果です。
<4.辛い食べ物の摂取頻度と糖尿病の死亡リスクの関係> ・・・評価が難しいのでは?
上の図で、辛い食べ物の摂取頻度と糖尿病の死亡リスクの変化は、「茶色の▶の曲線」が示しています。
直感的に辛い食べ物を週に3-5回摂取すると糖尿病による死亡リスクは大きく減少しているように見えます。
実際に低下しているかどうかの科学的判断の根拠は、週に週に3-5回摂取と週に6-7回摂取のハザード比とカッコ内の95%信頼区間は、モデル3でそれぞれ、0.60 (0.36 to 0.99)と0.82 (0.63 to 1.05)であり、週3-5回の95%信頼区間は「1」をまたいでおらず、糖尿病による死亡リスクは低下していました。
しかし、週に6-7回摂取の95%信頼区間は、「1」をまたいでおり、糖尿病の死亡リスクは摂取頻度が週に1回未満に比べ、辛い物を食べても死亡リスクは減少していないと言う結果でした。
この場合、辛い物を週3-5回の摂取と週6-7回摂取による糖尿病死亡リスクの結果の違いは、評価が難しいところですが、少なくとも今回の調査では週1回未満の死亡リスクに比べて差が見られています。
<5.辛い食べ物の摂取頻度と感染症の死亡リスクの関係> ・・・変化なし
結果のみ簡潔にご説明しますと、辛い食べ物の摂取頻度が週に1回未満の場合に比べ、摂取頻度が増えても感染症による死亡リスクには変化が見られませんでした。
<6.辛い食べ物の摂取頻度とその他の死因による死亡リスクの関係> ・・・少し下がる。
簡潔にご説明しますと、辛い食べ物の摂取頻度が週に1回未満の場合に比べ、摂取頻度が週に6-7回に増えると、その他の原因による死亡リスクは低下が認められました。