辛い食べ物と寿命の関係 (11)BMIによる男女別辛い食べ物の摂取と総死亡リスクの関係
辛い食べ物と寿命の関係 (11)BMIによる男女別辛い食べ物の摂取と総死亡リスクの関係
今回は下記の報告から、下の方法の5)に焦点を絞り、「男女別にBMIの違いで辛い食べ物の摂取と総死亡リスクの関係」について調査報告を見ていきましょう。
タイトル:Consumption of spicy foods and total and cause specific mortality: population based cohort study
訳:「辛い食べ物の摂取頻度と全死亡率及び原因別死亡率の関係」
研究者:Jun Lv, associate professor,1 Lu Qi, associate professor,2,3 Canqing Yu,他。
公表雑誌:BMJ. 2015; 351: h3942.
研究機関:Department of Epidemiology and Biostatistics, School of Public Health, Peking University Health Science Center, Beijing 100191, People’s Republic of China
Department of Nutrition, Harvard School of Public Health, Boston, MA, USA
Channing Division of Network Medicine, Department of Medicine, Brigham and Women’s Hospital and Harvard Medical School, Boston, MA, USA
方法 年齢区分、喫煙状態、飲酒状態、身体活動量、BMIと辛い食べ物の摂取頻度の関係
週6日以上辛い食べ物を摂取して総死亡率に対するリスクを評価する際、男女別及び全体で次の区分分けで比較した。
1) 年齢:50歳未満、50-60歳未満、60歳以上
2) 喫煙状態:現在は禁煙、喫煙
3) 飲酒の状態:現在は禁酒、飲酒
4) 身体活動量:12.29メッツ未満、12.29-25.31未満、25.31以上。
5) BMI:24未満、24-28未満、28以上 ←・・今回はこの部分について述べます。
結果11 BMIによる男女別辛い食べ物の摂取と総死亡リスクの関係
結果11-1 <図2:で示されているBMIのサブグループについて>
上の図2で、上から6段目の太字が示すBMIの状態を抜き出し、下に図2-7として示しました(上の図をクリックするとリンク先に大きく表示されます)。
上の図で、青色の●印と横棒は、ハザード比とその95%信頼区間を意味します。
そして上図に示されているたBMIは、次の3つのサブグループに分類して、それぞれのグループで辛い食べ物を摂取した結果、総死亡リスクがどう違っていたかを現しています。
・・・・3つのグループは、次の通りです
BMI 24未満、
BMI 24-28未満、
BMI 28以上 の3グループです。
結果11-2 <辛いものを摂取した男女のBMIサブグループによる総死亡リスクについて>
<男性(上の左側のグラフ)>
上の「結果11-1」で示した図で左側に示されているのは、「辛いものを食べた男性のBMIと総死亡リスク」の結果です。
この結果から解ることは次の点です。
1) 辛いものを食べた男性のBMIが、24未満と24-28未満のサブグループでは、総死亡リスクのハザード比とその95%信頼区間は、「1」をまたいでおらず、総死亡リスクが低下していたことを示しています。
2) 他方、BMIが28以上では、95%信頼区間が「1」をまたいでおり、辛い食べ物の摂取が週に一回未満のヒトと比べ、総死亡リスクの低下は認められません。
3) しかしながら、3つのグループに分けたBMIのサブグループ間における男性の総死亡リスクの交互作用のP値が0.742であったことから、サブグループ間における差はないと判定されます。
<女性(上の中央のグラフ)>
上の「結果11-1」で示した中央のグラフは、「辛いものを食べた女性のBMIと総死亡リスク」の結果です。この結果から解ることは次の点です。
4) 辛いものを食べた女性のBMIが、24未満と24-28未満のサブグループでは、総死亡リスクのハザード比とその95%信頼区間は、「1」をまたいでおらず、総死亡リスクが低下していたことを示しています。
5) 他方、BMI28以上では、95%信頼区間は「1」をたいでおり、辛い食べ物の摂取が週一回未満のヒトと比べ、総死亡リスクの低下は認められませんでした。
6) そしてBMIの3つのサブグループ間の交互作用のP値が0.522であったことから、女性もBMIのサブグループ間の差は、有意ではない(差がない)と判定されます。
<男女全体として(上の右側のグラフ)>
上の「結果11-1」で示した右端のグラフは、「辛いものを食べた男女全体のBMIと総死亡リスク」の結果を示しています。この結果から解ることは次の点です。
7) 男女全体では、辛いものを食べたBMIの3つのサブグループでは、いずれも総死亡リスクのハザード比とその95%信頼区間は、「1」をまたいでおらず、総死亡リスクが低下していました。 ・・・・なぜBMI28以上でも「1」をまたいでいないのか?については不明です。
8) そしてBMIの3つのサブグループ間における交互作用のP値は、0.510であった事から、男女を合計したBMIのサブグループ間による総死亡リスクの差はないと判定されます。
<私見として、BMIサブグループと総死亡リスクのまとめ>
男女全体として辛いものを食べたヒトのBMIサブグループと総死亡リスクの関係は、BMIのサブグループに関係なく、総死亡リスクは下がっていました。
しかしながら、やはり直感的にBMI28以下の方が、辛い食べ物を摂取して総死亡リスクがより下がるように思えてなりません。
このBMIサブグループに関しては、次の様にまとめられます。
BMIのデータに関わらず、辛い食べ物の摂取は総死亡リスクを下げられると判断されます。