とびひ (3)治療
とびひ (3)治療
(A) 治療
局所治療と内服治療を行います。
(1) 局所治療
病変部位を清潔にするため流水、シャワーなどで壊死した組織、痂皮をできるだけ除去します。広範囲に皮疹がある場合は抗菌剤の外用薬、ガーゼ保護を行います。軽度の場合は内服治療だけを行います。亜鉛華(あえんか)軟膏を使うこともあります。
(2) 内服治療
内服前に患部の細菌検査、感受性試験を行い、耐性菌による場合に備えます。伝染性膿痂疹は進行が早いので、治療効果を判定するため細菌検査の結果と併せて経過を診ます。
最近、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)による伝染性膿痂疹が増加する傾向があります。MRSAは抗菌剤をよく使用する大病院では院内感染を起こすことで知られていますが、小さな診療所でも注意は必要です。かゆみを抑えるため、抗ヒスタミン剤を内服薬に混ぜることもあります。
(B) 予防と対処
- 夏は大量の発汗により、皮膚のバリア機能を担っていた抗菌ペプチドが流されやすい季節です。その時、肌に傷が出来ると常在菌が傷口から入り込み、「とびひ」になります。そのため、虫や蚊に刺されたら掻き出す前にかゆみ止めを使って下さい。
- アトピー性皮膚炎の既往のある子供さんは、肌が敏感で、とびひにかかりやすいため、痒みが強いときは早めにアトピー皮膚炎の治療を受けて下さい。
- 小さな子供達の汗は、出来るだけ柔らかなタオルで吸い取りましょう。新陳代謝の活発な乳幼児の皮膚は、強くこすることで皮膚が強くなることはありません。それどころか、皮膚に傷をつけることになりますので、汗の拭き取りにも気をつけましょう。
(C) 家庭で出来ること
・お風呂・・・皮膚が不潔になるとかゆみを生じ、ひっかき傷を作ります。 患部はタオルなどで強くこすらず、手で丁寧に洗い、シャワーで石けんをよく洗い流して下さい。お風呂上がりに軟膏(抗菌剤やかゆみ止め)を塗って下さい。
・かゆみやキズがひどいときは患部を包帯やガーゼで覆って下さい。
・手指を清潔にし、爪は短く切って下さい。
(D) プールは?
とびひになると完治するまでプールには入れません。暑い夏にプール見学というのは避けたいものです。普段から皮膚の清潔に気をつけましょう。
(E) 学校や保育園は?
とびひの程度が強い場合は、他の子供にうつさないために欠席する必要がありますので、かかりつけ医に確認して下さい。とびひは伝染性が強い病気なので、保育園や幼稚園、学校は、症状が消え、完治するまではお休みしましょう。