面子とプライド (18)基本方針の違いが明らか 地域医療に貢献する 面子とプライド (18)基本方針の違いが明らか 目的は同じでも基本姿勢の違いが大きい このところのマスコミ報道で次の点が明らかにされました。 東京オリンピック組織委員会の基本姿勢は、「アスリートファースト」であり、 このことは、「アクション&レガシープランのスポーツ・健康分野に関することや、アスリートファーストの大会実現のための運営準備等についての具体的アクション、残すべきレガシーについて議論を進めています。」と示されています。 他方、小池都知事は、選挙期間中から「都民ファースト」を掲げて当選しています。 従って、東京オリンピックという目的は同じであっても、その取り組みに対する基本的な姿勢の違いは明かに隔たりがあります。 その原因は、「東京でオリンピックを開催する」目的は、何のため、誰のためと考えているかです。 加えて、オリンピックは国際的なスポーツイベントであり、国際オリンピック委員会が開催地決定の基準としているのは次の様な項目です。 オリンピック開催地決定の基準 オリンピック開催地の決定には、1次審査と2次審査があり、 1次審査では次の14項目ごとの最高点および最低点を決め、総合平均点を出さずにそれぞれの都市のメリット・デメリットを記載し、候補地を絞り込みます。 競技会場・会場配置 選手村 国際放送センター・メインプレスセンター 過去の国際大会開催実績 環境・気象 宿泊施設 交通・輸送計画 医療・ドーピング対策 治安・警備計画 通信 エネルギー 通関・入国管理 政府・世論の支持 財政・マーケティング 2次審査は評価委員会が現地を視察して報告書を作成し、プレゼンを評価して、それらを元にIOC総会で投票が行われ開催地が決定するという仕組みになっています。 <私見> 上に示した選考項目を見る限り、スポーツ競技そのものよりも、競技場の環境(宿泊、交通、治安・警備)がより重視されていることから、競技運営のしやすさが評価されているのではないでしょうか。 また、その中心はとなる理念は、「全ての人のためのスポーツ」であり、スポーツを通じて文化や教育の交流を促し、世界の人々の交流を活性化することで平和で平等な世界を目指していると思われます。 その目的のために、開催国政府と国民の支持が評価されています。 上記の項目から、優れたスポーツ選手の活躍の場を準備するのは、「スポーツ選手(アスリート)」ではなくて、「政府と一般国民の支持と役割」ではないでしょうか。 従って、東京オリンピック組織委員会や各種の国際競技連盟が競技場の決定に主導権をとる「アスリートファースト」と言う姿勢は、準備や費用を負担する側(東京都や国民)から見ても説得力に欠けると考えられます。 他方、現実的にオリンピック開催地を競って誘致する目的の主な理由は、経済効果である事は明かです。 つまり、経済的に豊かな国がより豊かになり、貧しい国はオリンピックを誘致できない状況がすでに生まれています。 この点については、「平等で平和な世界を目指している」と言いつつも、少なくとも経済的には平等からは離れているのではないでしょうか。 すでに建設業界では、「技能実習生制度」を利用して、発展途上国から技能習得を目的として外国人労働者を日本に呼び寄せ、低賃金で2年程度雇用出来る制度を通して、外国人労働者を雇用するためのガイドライン(「外国人建設就労者受入事業に関するガイドライン」)を国土交通省が定めています。 しかしながらその実態は、国際研修強力機構によれば研修手当の支給額は平均で6.5万円(2009年)であり、あきらかに最低賃金を下回っています。 従って、すでに経済的不平等の上に建設業界は利益を漁っていると言える状況です。 果たして、このような搾取を続けながら存在している業界がいつまで生き長らえるのでしょうか。 気がついていたら、「きつい、汚い、危険な」3Kと呼ばれる仕事の多くがこのような雇用条件を強いられる外国人によって支えられなければ、業界としてだけでなく国として成り立たなくなる日も遠くないのかも知れません。 少なくともその始まりが2020年の東京オリンピックと後に言われることにならないでしょうか。 同じオリンピックであっても、64年前の開催時や他国のオリンピック開催とはあまりに違わないでしょうか。