温泉の効果 (2)入浴法によるHSP発現の違い 地域医療に貢献する 温泉の効果 (2)入浴法によるHSP発現の違い 下記の報告から、入浴法による熱ショッ蛋白質発現の違いについて考えてみましょう。 タイトル:温泉の「効用」 「効き目」の秘密は ヒートショックプロテインにあった! 研究者:伊藤要子 研究機関:修文大学健康栄養学部管理栄養学科 入浴法によるHSP(熱ショック蛋白質)発現の違いについて 入浴や加温及び温泉の入り方でHSP(熱ショック蛋白質)の発現に違いがあるかどうかを検討しました。 すなわち、短時間の入浴とぬるま湯に長めに浸かった場合とでは、どちらでHSPが増えやすいかのを比較しまし た。 (A) 「40℃で20分間」の入浴を行った場合 入浴2 日後に有意に熱ショック蛋白質が増加していまし た。 そして、湯温が40℃の場合は20分、 41℃ なら15分、 42℃では10分の入浴時間でHSPが増える事が解りました。 感覚としては、汗がじわじわと出てきて、 体温(舌下温)がほぼ38℃になるのが目安です。 また、水道水使用の“さら湯”では40℃で20分の入浴が必要でしたが、 炭酸および無機物を成分とする入浴剤を使うと体温上昇と保温力のアップによって、 40℃・15分の入浴で熱ショック蛋白質有意な増加が確認されました。 そして、入浴後に忘れてはならないのが保温です。 入浴直後に素早く体を拭いたら、下着の上にバスロー ブやトレーナーなど保温性の良い着衣、そして靴下も 忘れずに履いて、しっかり保温しましょう。 水分補給も忘れずに行いましょう。 但し、冷たい飲み物は急激に体温を下げるので避けてください。 (B) 「42℃で5分間」というカラスの行水の場合 この入浴条件では、HSPは増加しませんでした。 より詳細な研究から、ゆっくり時間をかけて、硫黄などの無機成分たっぷりの湯に浸かって、温かい格好でのんびり過 ごす“温泉モード”が、熱ショック蛋白質増加に適している事が明らかにされました。 さらに 湯治として何日も滞在して入浴を繰り返すことで、よ り効果は確かなものになります。 また、熱ショック蛋白質の産生は老化に伴って低下します。 そのため高齢者はストレスに弱くなり、夏の熱波で倒れたり、免疫力も低下することか ら、細菌感染などによる病気の可能性も高まります。 このように高齢化に伴なうストレス防御機能の低下に対して、温泉や入浴で熱ショック蛋白質を高めることが期待出来ます。 HSP入浴法に関するQ&Aは、こちらのサイトを参照して下さい。 次回は、上の報告から筋肉疲労の軽減効果について見ていきましょう。