温泉の効果 (9)動脈硬化症の炎症部位における単球遊走化タンパクの出現に及ぼす入浴の効果
温泉の効果 (9)動脈硬化症の炎症部位における単球遊走化タンパクの出現に及ぼす入浴の効果
これまで「(5)動脈の構造とアテロームについて」では、動脈の組織断面構造とアテローム性動脈硬化症に関する基礎知識を補うためのご説明いたしました。
次の「(6)実験的アテローム性動脈硬化症の誘導方法」では、実験的にラットの大腿動脈にアテローム性動脈硬化症を誘導する方法についてご説明させて頂きました。
「(7)アテロームを誘導したラットの入浴実験」では、(実験的アテローム性)動脈硬化症を誘導したラットを入浴させた実験群と、入浴させない対象群の動脈の状態を比較した結果、「動脈内膜の厚み/動脈中膜の厚みの比(I/M比)」は、入浴によって対照群よりも明らかに減少している結果をご紹介しました。
「(8)動脈硬化症の炎症部位における炎症細胞(単球・マクロファージ)の集積に及ぼす入浴の効果」では、動脈硬化症誘導ラットの大腿動脈で、炎症細胞である単球・マクロファージの集積状態について、入浴の効果を比較したところ、入浴により炎症細胞である単球・マクロファージが集積されていないことから、炎症が入浴により抑えられていた結果をご説明しました。
今回は、動脈硬化症誘導ラットの大腿動脈炎症部位では、単球走化性蛋白が集まり、炎症が起こっている状態に対する入浴効果についてご説明させて頂きます。
タイトル:Thermal treatment attenuates neointimal thickening with enhanced expression of heat-shock protein 72 and suppression of oxidative stress.
訳:「熱ショックタンパク質72の発現の増強および酸化ストレスの抑制による新生内膜の肥厚を緩和する熱処理」
研究者:Okada M, Hasebe N, Aizawa Y, Izawa K, Kawabe J, Kikuchi K.
研究機関:First Department of Medicine, Asahikawa Medical College, Asahikawa, Japan.
公表雑誌:Circulation. 2004 Apr 13;109(14):1763-8. Epub 2004 Mar 29.
方法7 免疫組織化学染色
単球及び単球遊走化タンパク(MCP-1)の免疫組織化学染色を行ないました。
細胞の核は、メチルグリーンで対比染色し、顕微鏡で観察しました。
染色目的とした上記のMCP-1の生理的な意味は、以下の用語説明を参照して下さい。