麻疹 (1)麻疹とは
麻疹 (1)麻疹とは
2012年6月20日の産経ニュース によると、国立感染症研究所は、麻疹(はしか)の予防接種について、平成20年度から22年度までの3年間で計約176万人が接種対象にもかかわらず未接種だったことを明らかにした。
一般の人々には感心が薄かったり、日頃聞き慣れない病名であることから、麻疹の予防接種を軽視している印象を受けます。
同研究所は2012年7月25日現在における「麻疹ウイルスの遺伝子型が報告された症例の内訳」を公表した。
上記の内訳を見ると、愛知県が最も多く、感染患者のほとんどが麻疹ワクチンの未接種であることがわかる。 この内訳を一般の人から見ると、症例数としては多くはないように見えるが、麻疹の感染力(伝染力)と発症率(感染した人のほとんどが発症する)を知る者にとっては、感染を予防できる病気であるにも関わらず、ワクチン接種を受けないと言うことが理解できない。
そこで今回、麻疹という病気について一緒に学び、下記に述べた一般的な風邪の症状に発疹が加わっただけでは済まない合併症があることを知り、合わせてワクチン接種の重要性に気づいて頂きたい。
麻疹とは
感染経路は空気感染、飛沫感染、接触感染で、ヒトからヒトへ感染し、その感染力は非常に強い麻疹ウイルスによる感染症です。
この強い感染力のため、感染すればほぼ例外なく発症します。 一度感染して発症すると一生免疫が持続すると言われています。
感染すると約10日後に発熱や咳、鼻水といった風邪の症状が2~3日熱が続いた後、 39℃以上の高熱と発疹が出現します。 肺炎、中耳炎を合併しやすく、患者1000人に1人の割合で脳炎・髄膜炎が発症すると言われています。
(麻疹は、学校保健安全法に基づく第二種学校感染症に指定されており、学校をお休みしても、欠席扱いにはなりません)。なお、感染力が最も強いのは発疹出現前です。
潜伏期
約2週間(10~12日)くらいです。
症状
発 熱
38-39度の高熱が3~4日間続いた後、一度熱は下がります。その後、全身に発疹の出現と共に、再度39-40度の高熱が数日続きます(二峰性発熱)。
咳
上気道炎症状(咳、鼻みず、くしゃみなど)では、あまり痰のからまない強い咳が出ます。そのうち、痰がからんでくることが多いようです。
目やに
黄色や黄緑色の目やにが数日間続き、結膜炎症状(結膜充血、目やに、光をまぶしく感じる など)が現れます。
発 疹
4日目頃から発疹が出現し、最初は2-3mm程度の丸い紅色の発疹が耳後部、頚部、前額部から出始め、翌日には顔面、体幹部、上腕におよび、2日後には四肢末端にまでおよびます。
次第に発疹同士が融合し、色も暗褐色に変化し、次第に色素沈着(しみ)を残して治り始めます。色素沈着は、1-2週で消えます。
コプリック斑
発疹出現1~2日前から頬粘膜(口の中の頬の裏側)にやや隆起した1mm程度の小さな白色の斑点(コプリック斑)が出現しますが、約2日間程度で消えます。
消化器症状
乳幼児では下痢、腹痛を伴うことが多いようです。
感染経路
空気感染、飛沫感染、接触感染で拡大します。
診断
血液、咽頭ぬぐい液、尿の3つから診断します。
麻疹にかかっていれば特異的なIgM交替が発疹出現後、4~28日後に高値を示します。