床ずれ (4)床ずれの防止
床ずれ (4)床ずれの防止
前回の「(2)床ずれの見極めかた」では、床ずれ防止の三原則として、次の3点を示しました。
1)体位交換で同じ部位の圧迫をさける
2)清潔を保ち、刺激をさける
3)全身の栄養状態をよくする
今回は、この内の「1)体位交換」について考えてみましょう。
1)体位変換
(A) 体位交換の目的と方法 ・・・・圧力の軽減・除去
長い時間同じ身体部位の圧迫を避けるため、定期的に体位変換を行うことで床ずれを予防できます。
また、骨の突き出しがない広い面積のお尻の筋肉(殿筋)で体重を受けることができる「30度側臥位」(下図)をとる場合は、クッションなどを活用して、できるだけ広い接触面積で姿勢を保てるようにします。
また体位変換のときにベッドからの転落や摩擦・ズレをなくすため、できれば2人で行い、寝衣のシワによる圧迫をなくすよう整えます。
1人で行う場合には、身体の部分を少しずつ移動させやすいように、スライディングシート(下図)のような回転しやすいシートを利用する方法もあります。
(B) 体位交換の間隔
日本褥瘡学会によれば、基本的に2時間を超えない範囲で体位変換を行う事を推奨しています。
ただし褥瘡予防マット(体圧分散寝具、リンク先①)の種類や骨の突き出し具合によって個人差はあります。
粘弾性フォームマットレスや上敷二層式エアマットレス(リンク先①)などを使用する場合、体位変換の間隔は4時間を超えない範囲で行ってもよいとされています。
統一したケアが行えるように、介護施設などでは「体位変換スケジュール」を使用することも方法の一つです。
(C) 体圧分散寝具 ・・・・圧力の除去・軽減
体圧分散用の寝具の使用目的には次の項目があります。
①「沈み込み」や「包み込み」により突出部の圧力を低くする(身体の接触面を増やす)こと。
②「接触部位を変える」ことによって接触圧を低くするものです。
③ 褥瘡発生率を低下させる。
体圧分散寝具の種類は、対象者の褥瘡発生リスク、好み、ケア環境等も考慮に入れて選択します。
特に自力で体位変換が出来ない人には、圧切替型エアマットレス(褥瘡ガイドブックp168図8使用)を使用することが勧められています。
この「床ずれ」の分野における発展にはめざましいものがございますので、次回は「床ずれ」のためのマットレスについてご紹介させて頂きます。