冷感タオルにご注意
冷感タオルにご注意
「レイカンタオル」を漢字変換すると「霊感タオル」と変換されませんか?これは涼しそうですね!。 さて、話をタイトルに戻します。
昨年(2011年)の夏以来、原発事故による電力不足もあって、節電に対する意識が高まっています。中でも電気を使用せずに冷感を得られる「冷感グッズ」が売り上げを伸ばしていると報道されています。
そのような「冷感グッズ」のひとつに「水にぬらすだけでひんやり」や「水に浸してすぐひんやり」など、水でぬらして首等に巻くことで冷感が得られることをうたったタオル(以下、「冷感タオル」とする)があり、すでに利用されている方も少なくないと思います。
国民生活センター http://www.kokusen.go.jp/test/data/s_test/n-20120119_1.html によると、このようなタイプの「冷感タオル」を使用して「湿疹がでた」、「赤く腫れた」等の苦情相談が複数件寄せられ、その内、3件について調べたところ、いずれの商品からもアレルギー性の接触皮膚炎を起こすと報告されている「イソチアゾリノン系」の防腐剤が検出された事を明らかにしました。
イソチアゾリノン(下の化学構造)の誘導体には、殺菌・防かび・防藻・防腐剤があり、食品・医療用を除く、シャンプー・化粧品・糊その他の防腐剤、冷却水用殺菌剤等として広く用いられています。
冷感タオルの商品テスト結果
冷感タオルのテスト結果は、上記のリンク先を参照していただきたい。
また、製造元数社から回答を見ると、
- 防カビ剤を使用しないと、タオルの水分でカビの発生が防げない。
- タオルの防カビ、防腐剤の使用基準及び、表示義務が監督省庁に定められていない。
などの理由を述べています。
商品には初回使用前に洗浄を求める注意書きはあるものの、防腐剤の成分を示す表示はありません。
もしこれからこれらのグッズを使う際には、初回使用前によく洗浄した方が良さそうです。
もちろん洗濯機で洗えば、ある程度は除去できるますが、使用後に皮膚に接触した部位に湿疹が出来ていれば使用をひかえた方が良いでしょう。
接触性皮膚炎
接触性皮膚炎には次の二つがあります。
(A) 刺激性接触皮膚炎
原因物質の接触によって皮膚が炎症を起こす。アレルギーとは無関係なので、誰でも起こりえます。
(B) アレルギー性接触皮膚炎
原因物質に触れると、皮膚の免疫細胞が感作される。次に、またその原因物質に接触することによって、皮膚の免疫細胞が炎症を引き起こし、湿疹を来します。発症は原因物質に対してアレルギーのある人のみ生じます。
冷感タオルによる接触性皮膚炎
さて、上記の「冷感タオル」に含まれる「イソチアゾリノン系の防腐剤」による接触性皮膚炎の多くは、はじめは刺激性接触性皮膚炎であると考えられます。
しかし、繰り返して使用している内に、アレルギー性接触性皮膚炎に移行する危険性も考えられます。
国民生活センターは、「アレルギー性の接触皮膚炎を起こすとの報告があるイソチアゾリノン系の防腐剤が検出された」と指摘しています。
従って、冷感タオルを使用後に、湿疹があっても繰り返し使うことで、防腐剤に対するアレルギー性の接触性皮膚炎になる危険性を示唆しています。気をつけてお使い下さい。