マダニ刺し傷 5~9月は要注意
マダニ刺し傷 5~9月は要注意
子供の虫刺されが気になるシーズンとなりました。
5~9月はご注意下さい。
「マダニ」に刺されたのではないでしょうか?・・・・と心配されて受診される患者さんが増えてきましたので、今回は「日本のマダニ刺傷の症状」についてご説明します。
マダニ
マダニに刺されたかどうか?
マダニに吸血されている状態を目視しないと、刺し口だけではマダニ刺傷かどうかはわかりません。
マダニに刺されているときは、自分でつぶしたりせず、マダニを乗せたまますぐに受診して下さい。刺し口に虫体の一部が残ると重症熱性血小板減少症候群(SFTS)を起こすことがございます。
重症熱性血小板減少症(Severe Fever with Thrombo cytopenia Syndrome:SFTS)
この病気は、マダニが媒介するSFTSウイルスの感染によって発症しますが、致死率は10~30%程度と言われています。
現在、マダニに咬まれただけで感染したかどうかの検査をすることはできません。
マダニに咬まれた後、発熱したときは皮膚科を受診して下さい。
SFTS(重症熱性血小板減少症候群)の症状
発熱、だるさ、下痢、おう吐、腹痛、意識障害、リンパ節腫脹、呼吸不全、出血症状(歯肉出血、紫斑、下血)といった症状が現れます。
マダニによる死亡例
2013年に山口県で一人亡くなっています。それ以降、西日本を中心にSFTS患者が報告されており、2017年4月26日までに、の時点で232人の患者が報告されています。
その内、53人が死亡しています(国立感染症研究所)。
初夏と秋に流行が観られ、刺された人全員が発症するのではなく、フタトゲチマダニ、タカナゴキラマダニに刺された人の中で何人かがSFTSを起こす可能性があるようです。
また、SFTS患者の届け出地域をリンク先で観ますと、ほとんどが以下のように西日本です。
a) 患者が確認されている地域(宮崎、鹿児島、徳島、愛媛、高知、岡山、島根、山口、兵庫県)
b) 患者が報告されていない地域(三重、滋賀、京都、和歌山、福井、山梨、長野、岐阜、静岡、栃木、群馬、岩手、宮城県、北海道)においてもマダニは確認されています。
フタトゲチマダニ
SFTSウイルスは、ヒトと動物の間を行き来している
SFTSウイルス(は、マダニとマダニに吸血される動物との間でSFTSウイルスが循環・保持される仕組みが成立しています。
ヒトはSFTSVを保有するマダニに咬まれることで感染しますが、
動物はSFTSVに感染しても発症しません。しかし、感染した動物の体内にはSFTSに対する抗体ができます。
ペットを屋外で飼っている場合には、しっかりとブラッシングを行い、5〜9月の間は出来ればペットの毛を短くし、シャンプーも2週間隔で行いましょう。
すでにペットの血液からもウイルス抗体が検出されています。
SFTSの治療
有効なワクチンはありませんが、効果が期待される薬の開発が進められています。
慌てず、触らず 受診して下さい。
マダニ対策・予防法
1.マダニの生息場所となる草むらに素足、素手で入らない。
2. マダニから身を守る服装(草むらに入る際には、長靴、長袖、長ズボンを着用する。首にはタオルを巻き、シャツの袖口は 軍手や手袋の中に入れる。シャツの裾はズボンに入れ、ズボンの裾は長靴に入れる)
3. マダニから身を守る方法(上着や作業着は、 家の中に持ち込まない、屋外活動後は、 シャワーや入浴で、 ダニが付いていないか チェックする、ガムテープ を使って服に 付いたダニを 取り除く)
4. 忌避剤の効果(忌避剤でマダニの付着数は減少しますが、付着を完全に防ぐわけではありません。忌避剤を過信せず、 様々な防護手段と組み合わせて対策 を取)
5. 国内で入手できる忌避剤の種類と特徴(ディート、イカリジンの 2種類の有効成分の忌避剤が市販されています)
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