毛虫による皮膚炎 まとめ
毛虫による皮膚炎 まとめ
毛虫やガ(蛾)による炎症反応については、これまでその原因となる物質については、化学的な解析が行われていませんでした。
その原因は、一種類の毛虫や蛾を集めることの難しさ、及び毛虫の成長段階により炎症となる原因物質が異なっている可能性など様々な要因が解析を困難にさせていました。
これらの問題について、下の(3)以下でご紹介させて頂いた報告は、精力的に取り組んでいましたので、このサイトで解説させて頂きました。
(6)ヒトリガ毛虫の体液分析 ・・・毛虫の5回目の脱皮後(5齢期)の体液でオクタン-1-オールとフタル酸ジイソオクチルが検出された。前者は危険物質、後者は様々な代謝系を阻害し、炎症を引き起こす。
(7)ヒトリガ蛹(さなぎ)の体液分析 ・・高速液クロとガス・マス分析で幾つもの化学物質が確認されました。
(10)ヒトリガ蛋白質に対する特異的IgE抗体の証明 ・・・ヒトリガ蛋白質に対する特異的IgE抗体を証明し、さらに原因(抗原)となっている蛋白質のDNA配列から、蛋白質の種類まで解明しています。
(11)ヒトリガを使ったラットでの動物実験による全身状態 ・・・ヒトリガに曝されたラットで発現した全身症状。
(12)ラットに対するヒトリガ曝露実験による病理所見 ・・・ヒトリガに曝されたラットで観察された炎症の病理所見のポイントは次の通りです。
a) 脾臓と骨髄で巨核球数が増え血小板数の減少しており、巨核球の分化が阻害される可能性が示唆された。
b) ラット肺で間質性肺炎。
c) 肝細胞に風船化(膨化)が観られ、肝細胞の一部が壊死。
d) 腎の尿細管細胞が破壊された事を示しており、亜急性腎尿細管壊死。
e) 肺組織で肥満細胞数が増加。
<関連情報>
夏に多い発疹 ・・・毛虫による発疹 この時点では明らかではなかった毛虫に含まれる成分を上の報告が明らかにし、さらに特異的IgE抗体の証明、及び動物実験による炎症の再現を明らかにしました。